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庄司 英尚さん

社会保険労務士

終身雇用・年功序列をぶち壊す解雇規制緩和のメリット

2013年6月21日

雇用の格差を生む日本の解雇規制

そもそも、なぜ「解雇規制緩和」は必要なのでしょうか。日本では、原則として正社員を解雇することはできず、いざ解雇しようとしても「整理解雇の四要件」という高いハードルをクリアしないといけません。よって、企業としては、正社員を雇用するには慎重にならざるを得ず、非正規社員を増やすことで対応してきた背景があります。その結果として、雇用の二極化という格差を生み出してきました。それらを是正しなければいけない、というのが大きな理由です。また、強い解雇規制があると、成熟産業から成長産業へ人材を流動化させる上での大きな妨げになるから、というのも理由に挙げられます。

終身雇用・年功序列が崩壊し、人材の流動化が促進

解雇規制が緩和され、企業が正社員を解雇しやすくなれば、終身雇用・年功序列といった古い日本型の雇用慣行が崩壊します。しかし、一方で、若年者、女性の雇用状況は改善し、労働環境が大きく変わる可能性もあります。また、現在議論されている勤務地や労働時間や職種(職務)を限定する、いわゆる「限定正社員(ジョブ型正社員)」の制度が同時に充実してくることが予測されますので、あわせてその制度を活用することで人材の流動化が促進されるのは確かです。例えば、職務を限定し専門性を極めて年収をアップさせていきたいような人には大きなチャンスとなります。

安易な解雇を防ぐルール作りが必要

現在、特に大企業は裁判になる可能性があるような整理解雇は無理に行っていませんが、自主退職してもらうためにリストラ部屋にて強引に退職勧奨をしたり、執拗なパワハラを繰り返すケースも実際にあります。金銭解決による解雇が可能になれば、このような退職に追い込む手法は少なくなるはずですし、従業員側も解雇時にお金をもらって納得した上で退職することになるので、双方無駄な時間を費やさなくていいことになります。

一方で中小企業においては、金銭解決による解雇が可能になると、あいまいな状態での整理解雇が問題となり、お金を支払うことが明確に規定されてしまうため、逆に厳しい状況になる場合も考えられます。今までよりは慎重に解雇を検討するようになるかもしれません。

いずれにしても安易な解雇が横行する懸念は払拭できていませんので、誤解を招かないようなルール作りが求められます。

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