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佐々木 伸さん

弁護士

兵庫県行革プランの住民生活への影響

2014年1月31日

兵庫県の「第3次行革プラン」には住民の生活に直結するものも

兵庫県行革プランの住民生活への影響兵庫県が2018年度までに財政健全化を目指す「第3次行革プラン」のたたき台が先日発表されました。この内容を見てみると、「本県の財政状況は依然として厳しい」ことを前提として、今後見込まれる収支の不足については退職手当債や行革推進債、県債管理基金の活用等で対応するものとされています。また、支出の抑制につながる内容としては、県民局組織のスリム化、正規職員・非正規職員の削減等にとどまらず、老人医療費助成の自己負担割合増や母子家庭医療費助成の所得制限見直しなど、住民の生活に直結するものも含まれています。

県債などといっても結局は借金のことにすぎず、財政状況が厳しい以上、コストカットを検討するのは当然のことで、その意味では上記の見直しはやむを得ないことかもしれません。また、最近では、行政といえども「企業」の感覚が必要で、民間の経営手法を見習うべきだというような論調も見受けられます。しかし、果たして本当にそうでしょうか。

憲法が権利を保障している以上、福祉や教育を担うのが公の役割

民間企業は営利団体ですので、利益が上がらない事業から手を引くことは自由です。お金を払えない人にサービスを提供する義務もありません。しかし、福祉や教育という分野においては、憲法が生存権(憲法25条)や教育を受ける権利(同26条)を保障している以上、事業として利益が上がっていなくても継続しなければなりません。経済的に恵まれない人に対しても最低限の水準を確保する必要もあります。そして、これを担うことができるのは、基本的には公しかありません。

また、コストという観点から見ても、医療関係費を下げたとしても住民の健康が確保できなければ、長期的に見れば医療費は増大します。それに、雇用の削減から労働経験が蓄積されていない人が増加すれば、結局は社会保障費の増加となって跳ね返ってくることも十分に考えられます。このようなことからすれば、税金の垂れ流しはもちろん許し難いとしても、民間企業と同様の発想を持つべきという考え方も「ナショナルミニマムの確保」という公の大切な役割を軽視するものと言わざるを得ません。

住民自身が「地方自治の主役」との自覚を持つべき

憲法第92条は、地方自治の基本原則として「地方自治の本旨」という言葉を掲げています。この言葉には、「住民自治」、すなわち地方自治の主体は住民である、という意味が含まれています。住民自身が、単なるサービスの受け手ではなく、「地方自治の主役」との自覚を持って、自分たちの住む地域のことを真剣に考える必要があるように思います。

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