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佐々木 伸さん

弁護士

もし裁判員に選ばれたら、何をするの?

2014年2月5日

神戸地裁本庁でも、すでに1600人余りが裁判員に選任

もし裁判員に選ばれたら、何をするの?平成21年5月に裁判員裁判が始まってから、およそ5年が経過しました。この間、神戸地裁の本庁だけでも、205件の裁判員裁判が受理されています(平成25年11月まで)。1件の裁判員裁判で選任される裁判員は通常6人、補充裁判員が2人なので、すでに1600人余りが裁判員として選任されたことになります。

このように、多くの人が関わっている裁判員裁判。「選ばれたら、どうなるの?」と関心を持つ人もいると思います。裁判員に選ばれる手続の流れや職務について、簡単に説明します。

実際の裁判の拘束期間は平均6~7日

裁判員は、くじで選ばれた「その年一年の裁判員候補者名簿」から、さらにくじで選ばれた「その事件の裁判員候補者」の中から、上記のように原則として6人+2人が選任手続を経て選任されます。実際に裁判所に出頭するのは、この選任手続からになります。この選任手続の拘束時間は半日程度で、裁判官や検察官、弁護人から簡単な質問を受けることもあります。「どうしても外せない仕事がある」など、できれば選任して欲しくないという希望があれば、この応答の際に申し出ることもできます(ただし聞き入れてもらえるかどうかはわかりません)。

選任手続を経て選任されたら、裁判所から簡単な説明を受けて、いよいよ実際の裁判に入ります。事件の内容によりますが、平均すると6~7日の拘束期間ということが多いようです。この間、検察官・弁護人の主張や、証人尋問、被告人質問などを聞いて、自分なりに事件に対する印象を持つことになります。なお、この実際の裁判に先だって、裁判官・検察官・弁護人は長い時間をかけて争点を整理し、証拠を絞り、また用語法についてもできるだけ理解しやすいように準備しているので、「素人の自分に理解できるだろうか?」と心配する必要はありません。

「守秘義務」が及ぶのは「評議」。所要時間は平均10時間程度

この手続が終わると、「評議」といって、バックヤードで判決の内容を話し合って決める手続に入ります。裁判員の「守秘義務」が話題になることがありますが、その「守秘義務」が及ぶのは、基本的にはこの「評議」の内容、すなわち、「評議」で誰がどういう発言をしたとか、どういう流れで結論が決まったのかということは「外でしゃべっちゃいけません」ということになっています。逆に言えば、法廷で被告人が話したことなどには、特に注意されたりしない限り、守秘義務は及ばないということになります。この評議の所要時間については、平均して10時間程度というデータが出ています。評議が終わると、判決言渡期日になります。長くても1時間くらいということが多いです。

このように、裁判員に選ばれると、およそ半月程度の間、拘束されます。この裁判員裁判という制度には、こういった裁判員の人たちの負担の問題だけではなく、被告人の人権の観点などから、様々な問題が提起されています。物事の最終的な解決作用である司法には、その国の文化や慣習、物の考え方が色濃く反映されますし、反映されるべきです。裁判員裁判への関心をきっかけとして、「国民が刑事裁判にどの程度関与すべきか」という根源的な問題も含めて、一度、考えてみることが大切ではないでしょうか。

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