JIJICO

佐々木 伸さん

弁護士

ブラック企業との取引はリスクだらけ

2014年2月22日

継続的な取引でトラブルが発生するリスクは相対的に高まる

ブラック企業との取引はリスクだらけ先日、兵庫県労働局は県内172社(事業所)で長時間労働や賃金不払いなどの法令違反があったとして、これらの違反企業に是正勧告を出しました。いわゆる「ブラック企業」とは、過酷な労働条件で労働者を使い捨てにする企業のことですが、このような企業との関わりが問題になるのは労働者や求職者だけでしょうか。ブラック企業と取引するリスクについて考えてみたいと思います。

当然ですが、ブラック企業においては、その労働条件の過酷さゆえ、離職率は高くなります。担当がコロコロと変わるということになると、信頼関係を前提としたコミュニケーションの醸成は難しくなり、継続的な取引をする上でトラブルが発生するリスクは相対的に高くなります。また、そもそも優秀な人材を集めることは難しく、場合によっては頭数自体が足りていないということも十分あり得ますので、業務がしっかりと回せていない可能性が高く、信頼して仕事を任せることができない、というリスクも現実的です。

ブラック企業は、取引社会そのものに対して敵対的な存在

さらに、コンプライアンスを重視する昨今においては、ブラック企業と取引をしているという事実自体が、その会社の評判を落とすということになりかねません。会社は社会の公器ですから、そもそもモラルの低い企業とは関わりを持たないことが本質的に求められているともいえます。

このように、ブラック企業は、労働者に対して害悪をもたらすだけではなく、取引社会そのものに対して敵対的な存在であるといえます。したがって、冒頭に紹介させて頂いた労働局の取組なども、基本的には正しいものであるといえます。

「競争に『節度』と『モラル』を取り戻す」。この思考が必要

しかし、そもそもなぜ「ブラック企業」が数多世に現れるようになったのでしょうか。「ブラック企業」に通底する「利益さえ上がれば何をしても構わない」という発想は、いわゆる新自由主義の考え方と軌を一にします。

一部の資本家の強欲に押し潰された中小企業が、さらに弱い存在である労働者にしわ寄せを強いている状況、それが「ブラック企業」という現象ではないでしょうか。「競争に『節度』と『モラル』を取り戻す」。そういう方向から思考を進めていかなければ、いくら労働局が是正勧告を繰り返しても何も変わらないのだと思います。

\ この記事をシェアしよう! /

専門家に相談してみよう!

佐々木 伸さん
弁護士

執筆記事一覧

関連記事&スポンサーリンク

最新記事や今おすすめ記事をお届けします。
解決!アスクミー JIJICOメルマガ

>今すぐ登録する!

「ビジネス」のその他の記事

2019年5月30日 酒井翔平さん
転職支援エージェント
会社と結婚するな、職能と結婚せよ
年功序列や終身雇用は成り立たなくなることが予想されます。会社に依存せず、自分にとって武器になるスキルを身につけることがこれからは必要。
2019年5月5日 岡部 眞明さん
経営コンサルタント
働き方改革が国を滅ぼす?中小企業がすべきことは
少子高齢化から人口減少社会に突入した日本。経済活動の縮小が懸念されるなか、働き方改革が人手不足に追い討ちをかけるかのように施行されました。こんなときこそチャンス!社員の心を動かせば・・・。
2019年4月24日 桑山裕史さん
結婚相談所
統計データに惑わされずに“シニア目線のニーズ”を掴む
シニアビジネスというと、数字的な市場の大きさに着目した言及が目立ちます。しかしながら『シニアが、何を望んでいるか』といったニーズを私たちは本当に理解できているのでしょうか。 多くのシニアと対面したからこそ理解できた“シニアの消費意欲”を具体的事例で紹介すると共に、真のニーズ理解の重要性について解説します。
2019年4月19日 酒井翔平さん
転職支援エージェント
若手社員がぜひ身につけたいスキルとは?
若手社員が会社から期待されるような人材になるにはどのようなスキルを身につければ良いのでしょうか?周りから出来るヤツと見られる、誰でもできるスピード重視の仕事術について解説します。

テーマ