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毛受 誉子さん

心理カウンセラー

増加する大人の「多動性障害」

2014年4月30日

海外では、大人の10人に1人が多動性障害というデータが存在

増加する大人の「多動性障害」ADHDという言葉を耳にしたことがあるでしょうか。これは、注意欠陥多動性障害(AD/HD)といわれ、3つのタイプに分けられます。①多動性・衝動性が優位なタイプ、②不注意が優位なタイプ、③①と②の両方を持っているタイプの3つです。

この多動性障害とは、多動性、不注意、衝動性などの症状を特徴とする発達障害の一つで、最新の研究では、「行動障害」とも言われています。症状としては、「落ち着きがなく気が散りやすい。片付けが苦手。怒りっぽい、思ったことをすぐ口にしてしまう。忘れ物が多い。話に割り込んでくる。優先順位が分からない。言葉の説明だけでは理解できない。仕事を引き受けすぎる」といった行動の傾向が見られます。

かつては子ども特有の症状とみられ、15歳未満の6~12%が該当するとされていましたが、近年では、成人してから症状に気が付く「大人の多動性障害、大人の発達障害」が注目され始めました。海外の事例では、大人の10人に1人以上が発達障害だというデータも存在します。

過剰診断や過剰な薬物治療を受けているとの報告も

増加の背景には、いくつかの環境要因があります。その一つとして、DSMという評価基準により、誰でもわかりやすく、診断に明確な基準が設けられたことが挙げられます。一方で、生物学的・脳科学的な根拠がないこと、患者や周囲の主観的な自己申告という曖昧さ、治療法に直結性がないことなどの課題もあります。DSM-IVの編纂委員長のアレン・フランセス医師は評価基準の制定により、ADHDの診断が15%増加すると見込み、十分な注意を促していました。しかし、実際には3倍に増加、小児の双極性障害は40倍、自閉症は20倍、成人の双極性障害は2倍となってしまったのが現状です。

診断の不正使用に注意し、適切な使用を喚起している最新のDSM-5でも、正常な人にまで誤って診断を下すという過剰診断と、過剰な薬物治療を受けていることが報告されています。そこから、精神医学の医師、心理学者、心理士等の専門家からDSM修正の動きが始まっています。

日本国内では大人のADHDへの理解は乏しい

この多動性障害は、本人の経験不足等によるものなのか、脳の特徴なのか客観的な視点から判断することができず、知能の低下も関係はないとされています。むしろ、歴史上の偉人や発明家、芸術家などと天才と呼ばれる多くの人がADHDだったのではないかとも言われています。

日本では、他の先進国に比べ、成人のADHDへの理解が乏しく、適切な治療を受けることも難しい状況です。適切な行動療法・支援が受けられず、社会に適応できないまま、引きこもりやうつ病などの2次障害を発症してしまうケースも多く報告されています。

心の支援、発達に適した支援、行動への支援、環境調整の支援、周囲の人の連携による支援等、サポート方法も明確になってきました。仕事の不適正や過度に人格が傷つけられたり、駄目な人とむやみに自尊心を傷つけられたりして、離職や休職する大人も増えています。互いにサポートし、働きやすい社会にするための理解を促すことが、働く大人の一人一人に向けられた課題といっても過言ではありません。

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