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徳永 美佳さん

マナー講師

世界が称賛する「おもてなし」の真髄

2014年5月4日

日本では、相手への気遣いを小さい頃から学ぶ

世界が称賛する「おもてなし」の真髄オリンピック招致のプレゼンで有名になった、日本の「おもてなし」。日本のマナーは今や、「おもてなし」と言った方が世界中で認知されているでしょう。

私のところにも日本の「おもてなし」を求めて海外から研修依頼があります。その心を伝えるとき、背景にある日本の文化を知ってもらうことから始めています。中国には論語があり、韓国には儒教の教えがありますが、日本の「おもてなし」の心を培っているものは何なのか。私は、「江戸しぐさ」という江戸時代の商人の知恵から学べる内容を例に出して伝えています。江戸しぐさを知ったのは、娘の小学校の校長先生が、生徒に説明していたのを聞いたのがきっかけでした。

「通路でぶつかってもお互いさまの気持ちを持ちましょう。ぶつかってごめんなさい。よけられなくてごめんなさい。双方がごめんなさい。この気持ちが『江戸しぐさ』です」。こんな風に、相手への気遣いが小さい頃から身についている日本文化があってこそ「おもてなし」の心は引き継がれていくのだと思います。

ANAのCA時代、私はある外航との共同運航便のクルーとしても乗務していました。ANAでは、食事が終わって機内を暗くしても、キャビンチェックと言って「お客さまの様子を見てご要望に応える体制」をとっています。ところが外航のクルーは、ギャレーという厨房にいる時間が非常に長いのです。通路を歩く速度も速く、外航CAがキャビンを歩くと手ぶらでギャレーに戻ってきます。しかし、私たち日本人CAがキャビンに出ると、回収物やドリンクのオーダーを抱えて戻ってきます。特別なことではなく「お客さまの表情、ご様子を見ながら通路を歩くと、たくさんのニーズがあふれている」からです。「長時間の空の旅を快適に過ごしていただきたい」という「おもてなし」の心は、日本人CAには自然に身についていると実感しました。

お米を作った人にまで思いを馳せる。それが「おもてなし」の心

食事に関しても、日本人は相手が出してくれたものを「残してはいけない」と思い、がんばってでも残さず食べます。「このお米は、農家の人が丹念に育ててくれた。残してしまっては、お料理を作ってくれた人にも失礼だ」と親から言われて育ってきたからでしょう。外国人宅に招かれると、食べきれないほど食事が出てくることがありますが、他の国では、すべて食べてしまうと「お料理が足りなかったのでは?」と考えるからです。

それぞれの国のマナーで、日本と大きく違う点は、他の国では「自分自身のため、自分に近しい人だけに向けたマナー」が多いように感じます。日本は、自分の周囲の枠を超え、もっと広範囲に渡って「おもてなし」の気持ちで接しています。それが先ほどの食事の例に現れているように思います。自分の作った料理のことだけではなく、お米を作った人にまで思いを馳せる気持ちこそ、日本の「おもてなし」の心ではないでしょうか。

世界に向けて「おもてなしの国、日本」をアピール

海外の人が研修を受講した後、アンケートでおもしろい結果が出ます。「日本のサービスはすばらしい。日本のサービスは快適だ。でも自分がこのサービスをやるのは面倒だ」といった声です。どんなにすばらしいとわかっても、長く深く根付いた「おもてなし」文化がないと、日本人のようなきめ細やかなサービスはできないということの現れでしょう。

これは日本にとって大きなチャンスだと思います。日本のマナーやサービスが高い評価を得られ、その実践に至っては「日本人にしかできない」ということになれば、それを体感するために、世界中から多くの人が日本に集まることでしょう。今こそ、日本の「おもてなし」のすばらしさを再認識し、日本人として誇りを持って「おもてなしの国、日本」をアピールしましょう。

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徳永 美佳さん
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