JIJICO

河野 晃さん

弁護士

商品名に「官兵衛」使用 法的な注意点

2014年7月7日

「軍師官兵衛」で姫路市界隈では空前の官兵衛ブーム

商品名に「官兵衛」使用 法的な注意点NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」で黒田官兵衛が取り上げられ、官兵衛生誕の地である姫路市界隈では空前の官兵衛ブームが訪れています。このブームに乗って、各企業が自社の商品に「官兵衛○○」「官兵衛の△△」「□□官兵衛」などと名付けて発売しています。

商品を販売する場合、商標登録を行うことが一般的です。商標登録をする意義は主には「①自分の商品と他人の商品を区別すること」「②登録した商品名(商標)を独占的に使えること」などがあります。では、「官兵衛」という歴史上の人物である故人の名称を商標登録する際に何か注意すべき点はあるでしょうか。

公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標は登録できない

まず、商標登録する際には、商標法という法律の基準を満たす必要があります。「官兵衛」という名前を商標登録する場合、商標法の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は登録できない、という規定に抵触する可能性があります。なぜなら、官兵衛のような郷土の偉人は、特に当該地域において強い顧客吸引力を発揮すると考えられる一方で、地域住民らに敬愛の情をもって親しまれていますので、そういった国民や住民の反発があることも否定できないからです。また、もし、いらっしゃるとすれば、官兵衛の末裔といった親戚縁者らの心情を害する可能性もあるでしょう。

しかし、かといって「公の秩序又は善良の風俗」といった曖昧な条項を広く解釈しすぎると、何も商標登録できなくなってしまうことになります。何事もバランスが大事です。そこで、「①歴史上の人物の周知性」「②当該人物に対する国民または地域住民の認識(イメージ)」「③当該人物名の利用状況」「④当該人物名の利用状況と商品名等との関連性」「⑤商標登録に至った経緯」「⑥当該人物と出願者との関係」などを総合的に勘案して、当該出願が「公正な競業秩序を害するものであり、かつ社会公共の利益に反するかどうか」という観点から、商標登録が許されるか否かを判断するべきです。

では、もう少し具体的に考えてみましょう。例えば、ずばりそのまま「官兵衛」という名前そのものを商標登録しようとした場合、ブームに便乗して、地域振興といった公益的な施策を阻害することを十分知りながら「官兵衛」という名称による利益を独占する意図であると判断されるため、商標登録はできない可能性が高いでしょう。しかし、「官兵衛○○」など、商品名がその商品の特徴を表しており、ある程度、特定性があるものの場合、地域振興といった公的な目的を阻害するおそれも少ないでしょうから、商標登録は可能であるものと考えます。

商品を販売する場合、商標登録を忘れずに

最後に、商標登録せずに商品を販売する場合について一言。その場合、同じまたは類似の商標を登録した人から販売の差止めや損害賠償請求をされる可能性があります。

もし、商品がヒットしても、販売できなくなったうえに損害賠償を請求されてしまうなんて踏んだり蹴ったりです。そうならないためにも、商標登録はしておいた方が良いでしょう。

\ この記事をシェアしよう! /

専門家に相談してみよう!

河野 晃さん
弁護士

この専門家について

執筆記事一覧

関連記事&スポンサーリンク

最新記事や今おすすめ記事をお届けします。
解決!アスクミー JIJICOメルマガ

>今すぐ登録する!

「兵庫」のその他の記事

2016年3月27日 藤本 尚道さん
弁護士
ごみ屋敷に“法の網” 条例制定へ 氏名公表、代執行も
神戸市が「新条例」を制定し、住民に「ごみ屋敷」の予防と解消を義務付けることになりました。廃棄物を撤去する「代執行」に加え、氏名公表の措置や過料の罰則にまで踏み込んだもの。ごみ屋敷の解消につながるか?弁護士が解説。
2015年1月5日 仙波 誉子さん
防災士
震災を知らない子どもたちに伝えたい防災意識
阪神・淡路大震災から20年。被災地では、震災の記憶の風化が懸念されている。子どもたちへの防災教育は地域全体に効果をもたらす。防災を文化として地域に根付かせる礎を築くことは大人の責務と専門家の見解。
2014年11月8日 伊藤 勇矢さん
柔道整復師
神戸マラソン完走へ 短期間で備える体のメンテナンス
神戸マラソン2014まで1ヶ月を切った。昨年度の神戸マラソンでランナーズケアした経験を持つカラダの専門家が、テニスボールだけでできる体のメンテナンス術をアドバイス。完走を目指して体のケアを怠らずに。
2014年11月2日 藤本 尚道さん
弁護士
全国初「自転車保険」義務化の実効性は?
自転車が加害者となる事故は全国で年間2万件以上。しかし県内の自転車保険加入率は24%にとどまっている。兵庫県では自転車保険の義務化へ。実効性を疑問視する向きもあり「罰則」も導入されて然るべきと弁護士。

テーマ