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大西 隆司さん

弁護士

巨大企業「アップル」を訴えた下請け「島野製作所」の勝算

2014年12月3日

島野製作所がアップルに対し、訴訟を提起したと発表

巨大企業「アップル」を訴えた下請け「島野製作所」の勝算アップル製品の電源アダプタ接合部分に使われるピンのサプライヤーである株式会社島野製作所は、平成26年8月1日付でアップル・インコーポレイティド(以下「アップル」)に対し、独占禁止法違反(請求内容:リベート支払等に関する損害賠償請求)等を理由とする訴訟を提起するとともに、同年同月6日付けで特許権侵害(一部のアップル製品についての販売差止及び損害賠償請求)について訴訟を提起したと発表しました。

島野製作所によれば、アップルと継続的取引において看過できない行為があったため、訴訟を提起したものとしています。この一件は、巨大企業アップルに対するサプライヤーの訴訟として、注目を集めるようになりました。

アップル側は両社の合意を破り、不当な要求を求めた

それでは、島野製作所に勝算はあるのでしょうか。まず、リベート支払等に関する損害賠償請求事件について考えてみましょう。前提として、現段階でも公式に訴状等は公表されておらず、不確かな部分があります。

この訴訟を報道した週刊現代によれば、アップル側と島野製作所側には類似製品の開発などを行わないという合意がありました。しかし、アップルは他メーカーに発注先を変え、発注量を激減させました。その上で、今後の代金の減額だけでなく、取引を再開するためには、既に納品しているピンの在庫分についてのリベート(アップルが持つ在庫の購入時の価格と、減額要求で求められた価格との差額に在庫数をかけた金額)を払えと要求したことが訴状の内容にあるとされています。

島野製作所が主張する事実の証明が重要

独占禁止法2条9項5号では、「取引上の地位が優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること」を禁止しており、取引の相手方の対価を減じる行為が挙げられています。

アップルが優越的な地位にあるかどうかは、島野製作所のアップルに対する取引依存度、アップルの市場における地位、島野製作所にとっての取引先変更の可能性、その他、アップルと取引することの必要性を示す具体的な事実を総合的に判断することになります。このような優越的地位にある事業者が商品等を購入した後、正当な理由なく自己の一方的な都合により、契約で定めた対価を減額する場合には、優越的地位の濫用に当たるものとされています。

既に販売した在庫分のリベート要求は、商品等の購入後の減額後に該当します。これに至る経緯が上記のものである場合には、優越的地位の濫用に当たる可能性は高まります。今後は、島野製作所の主張する減額の経緯及び、減額要求に関する事実の証明が重要となりそうです。

島野製作所は巨大企業を訴訟提起できる武器を持っていた

一方、特許権侵害については、アップル側の製造等が島野製作所の持つ特許発明の実施にあたるかどうかが争点となるところです。

とはいえ、島野製作所が技術をノウハウとして持つだけでなく特許化しておいたことにより、少なくとも巨大企業に対して訴訟提起できるだけの武器を持っていたことは評価できるでしょう。

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