JIJICO

小倉 越子さん

社会保険労務士

男性の育休取得、地方自治体は民間企業のモデルとなるか?

2015年4月11日

岐阜県が職員の出産・子育てを支援、男性職員の育休取得も

男性育休近年、男性の育休取得促進が叫ばれていますが、成果がなかなか数字に表れてこないようです。そんな中、「男性育休取得のモデルケース」になろうという地方自治体が現れ始めました。

岐阜県では、2015年度から職員が子どもを産んで育てやすい環境づくりに取り組み、男性職員の育休取得もサポートしていくそうです。果たして、地方自治体は民間企業のモデルとなりうるのでしょうか?

民間企業に比べ、育休の取りやすい公務員組織

私は、かつて民間企業で人事を担当していました。現在は、社労士でありながら非常勤の地方公務員(教職員)の身分も有しています。私から見ると、公務員の組織は民間に比べて育休が取りやすいと思っています。その理由は、いくつか考えられます。公務員は、男女雇用機会均等法施行前から男女平等です。育休制度も昭和の時代から整っていました。複数回育休を取り、定年まで勤める女性が多く存在します。

公務員には労働基準法の適用がない職種が多く、労働時間の管理が組織ではなく、個人の裁量に委ねられていることも大きいと思います。また、地方公務員は地元出身者が多いため、育児に協力しれくれる身内が近くにいることも強みだと言えるでしょう。育児で長期間職場を離れても、復帰するのが当たり前の風潮があります。

時短勤務で任せる仕事が縮小するなど、中小企業では負担大きく

しかし、民間企業ではかなり事情が違います。私が勤めていた大手小売業の店舗では、主婦のパートが従業員の大半でした。彼女達は、出産で仕事を辞めて子育てが終わって社会復帰してきています。

自分の部署で、育休や育児勤務に入る女性社員が出ると「私たちの頃には、育休も育児勤務もなかった。私だって仕事を続けたかったのに、今の人はいいわねえ」と、育児中の女性社員を応援するという雰囲気にはほど遠いものでした。また、会社の立場からすると、育休が終わって通常勤務に戻れる人はあまり問題ないのですが、時間短縮勤務となるとまず配置に苦労します。任せられる仕事の範囲が、通常の社員よりも狭くなってしまうため、本人にとっても不本意な部署での復帰ということも珍しいことではありません。これが、中小企業となると、会社の負担は相当大きくなります。

一律的な方法で推進するのではなく、組織に応じた対応を

地方自治体が、率先して男性育休の取得を推進することには大賛成です。しかし、地方自治体での事例を民間でも応用できるかと言えば、それは難しいでしょう。長い年月をかけて作られてきた組織の風土は、そう簡単に変わるものではありません。

男性の育休取得を一律的な方法で推進するのではなく、組織に応じた対応をするのが重要だと考えます。

\ この記事をシェアしよう! /

専門家に相談してみよう!

小倉 越子さん
社会保険労務士

この専門家について

執筆記事一覧

関連記事&スポンサーリンク

最新記事や今おすすめ記事をお届けします。
解決!アスクミー JIJICOメルマガ

>今すぐ登録する!

「ビジネス」のその他の記事

2019年7月10日 堀田周郎さん
ブランディングコンサルタント
今治タオル実習生の不当労働報道から思う。ブランドは誰のもの?
今治タオルを扱う縫製工場で働く技能実習生の劣悪な労働環境が報道され大きな波紋が広がっています。ブランドの所有者は企業、お客さまに加えて従業員、社会のものになりました。貴方にはその認識があるでしょうか?
2019年7月2日 待谷忠孝さん
経営コンサルタント
品質相応の価格で販売出来ないことが引き起こす悪影響を考える
品質の良い商品には相応の開発コストや製造コストがかかっており、必然的に価格は高くなるはずですが、最近では安く提供されるケースも増えています。良い品が安く提供されるのは買い手にとっては良いことですが、果たして良いことばかりなのでしょうか?
2019年6月28日 新井 一さん
キャリアカウンセラー
会社員のまま起業準備することが退職後の安定した人生につながる!?
「副業解禁」の流れが加速しています。それはつまり、「将来は自分で何とかしてください」というメッセージでもあります。今、会社員のうちに「稼ぐ力」を身に付けておくことが、求められているのです。
2019年6月21日 待谷忠孝さん
経営コンサルタント
中小企業は儲かる市場を狙ってはいけない
規模の大きな市場や成長市場に参入したいとお考えの経営者様も多いのではないでしょうか。しかし、それらが中小企業にとって理想の市場とは限りません。では、どういった市場が中小企業にとって適切でしょうか?

テーマ