JIJICO

庄司 英尚さん

社会保険労務士

「デモ参加で就活不利」は時代錯誤!噂の真偽

2015年9月27日

デモ参加は就職活動に不利という噂が、ネット上で拡散

「デモ参加で就活不利」は時代錯誤!噂の真偽安倍内閣が進めている安保法制に反対するデモに参加すると、就職活動が不利になるのではないかという噂が広まっています。このテーマに関しては、1カ月以上にわたりネット上で議論が盛り上がっていましたが、さらに勢いが増したのが、ある市議会議員のコメントです。これが就職活動に不利になるとの論調を補強する形となり、ますます白熱しました。

就職活動をしている学生にとっては、どちらにしても気になる話題です。そこで、採用活動をしている経営者の生の声と法的な視点を含め、実際に就職活動で不利になるのかについて考えてみましょう。

個人情報を集めることは違法行為になる

結論からすれば、まず、就職活動に不利になることはないといえます。面接でそのような質問もできなければ、エントリーシートに支持政党や思想信条などに関して記入させることも当然できません。そのような活動をしているかどうかについては、応募者全員を陰で調べたり、調査したりする人員も予算もないというのが一般的な企業の実情です。

職業安定法が1999年に改正され、企業が求職者の個人情報を集めるのは、業務に必要な範囲に限られています。ちょっと間違った採用活動をしていれば、就職差別と騒がれて企業側が逆に追い込まれてしまうこともあり、企業側のほうがかなり慎重になっています。

誰を採用するのかは自由という考え方もある

しかしながら、極稀に企業担当者が今回のデモの詳細をよく知らず、偶然テレビに映った応募者のことを見て「過激な行動をとる可能性があるため、そうした人々とは関わり合いを持ちたくないし、弊社の組織風土には合わないため採用しない」と考えることがあるかもしれません。それでも、採用しなかった理由を開示する義務もないため、真実はわからないことになります。

確かに企業が誰を採用するのかは自由であり、内定前であれば、今回のような理由で不採用とするのも企業の自由です。過去に最高裁の判例で、三菱樹脂事件というものがあります。この事件では、学生の思想を理由に企業が採用を拒否したことが争われ、「特定の思想信条を有する者を雇うことを拒んでも、当然に違法とはできない」という判決が出ています。

しかし、時代の変化とともに企業側が思想で採用を拒む自由は時代を追って狭くなっていると指摘する有識者も多く、しっかりした企業であれば、デモに参加していたことだけで就職活動で不利に取り扱うことはあまり考えられません。

社会問題に関心が高いということは、プラス要素

知り合いの採用活動を行っている企業経営者に質問したところ、「行動力があって意見がしっかりあるのはいいことなので、別に不利になることはない」という回答がありました。私も今回の内容のデモに参加というレベルであれば、社会問題に関心が高いと受け取り、企業に入社後も問題を解決する意識も能力もあるということで、プラスに考えています。

今回の噂については、時代錯誤も甚だしいという意見もありますが、一方で親世代が子供たちの就職活動を心配する声がメディアにも多く取り上げられる傾向にあります。親世代が面接を受けていたころのイメージがそのまま残っているため仕方がありませんが、就職活動に関する話題は、国民全体の関心が高く個人の価値観の違いが大きく出るところでもあるため、基本的な考え方だけは事前に学ぶ必要がありそうです。

専門家に相談してみよう!

庄司 英尚さん
社会保険労務士

この専門家について

執筆記事一覧

最新記事や今おすすめ記事をお届けします。
解決!アスクミー JIJICOメルマガ

>今すぐ登録する!

「ビジネス」のその他の記事

2017年12月12日 木村 文俊さん
大学生塾 理事長
解決!アスクミー JIJICO
大学生はより良い企業に目を向ける。脱!内定辞退狂想曲。
現在は、人口減社会。このような時代だからこそ、採用活動では「相手(学生)を知りたい」と思うことが必要。長期的には共生社会を目指すスタンスも。
2017年12月12日 小田原 漂情さん
塾教師、歌人・小説家
解決!アスクミー JIJICO
12月12日は漢字の日 漢字にまつわる面白い話
漢字が好きになるかどうかは、小学3年生でほぼ決まります。それには面白さを知ることも大切。「会意文字」や、古代の読み方の魅力をご紹介します。
2017年12月11日 GYUさん
アルゼンチンタンゴダンサー、ディレクター及び講師
解決!アスクミー JIJICO
12月11日はアルゼンチンタンゴの日 初心者でもタンゴにチャレンジ!
世界中で老若男女に踊られているアルゼンチンタンゴ!ダンスの技術の他に文化風習を学び世界中の人と繋がれるシンプルなダンス。そしてタンゴの技術は姿勢がきれいになりダイエットなどにもつながります。
2017年12月11日 松本 孝一さん
介護事業コンサルタント
解決!アスクミー JIJICO
認知症患者の割合、先進国で日本が1位
認知症患者の割合が先進国で日本が1位となりました。なぜ、日本は認知症患者数が多いのでしょうか?また、認知症患者数を増やさない取り組みを世界に発信することが必要となる点について解説します。

テーマ