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安藤 ゆかりさん

研修講師・キャリアコンサルタント

増える高学歴プア、博士号を取ってもフリーターのワケ

2015年10月11日

理系の博士号をもつ28歳男性の手取り額が20万円弱?

増える高学歴プア、博士号を取ってもフリーターのワケ「中卒月収40万円VS院卒20万円」というショッキングな見出しのネット記事が注目されています。理系の博士号をもつ28歳男性の手取り額が20万円弱という内容で、一部の極端な事例を紹介したものですが、現代日本の教育・研究と就労という重要な部分について、一面の事実を明らかにしていると思えます。

内閣府の統計資料によれば、昭和60年に大学院博士課程に在籍していた人の数は2万1541人。それが平成23年にはおよそ2.6倍の7万4779人となっています。20年ほどで2.6倍に増加した博士課程の修了者たちは、その後どのような進路をたどるのでしょうか?

文科省の科学技術政策研究所がまとめた「平成20年度大学院活動状況調査」によれば、この年に大学院の博士課程を修了した人が全国で約1万6000人。この中で、大学教員になった人が2400人。その他の公務員や医者になった人が2800人。民間企業や公的研究機関に就職した人が4000人とあります。残り6800人ほどの内、約2200人がポストドクターとして研究室に残っていますが、その他は「一時的な職に就いた者等2900人」と「進路不明1600人」とあります。

博士課程に進んでも大学の教員職に就くのは狭き門

ところで博士課程に進学を決めた人々は、その時点で修了後の進路をどのように考えていたのでしょうか?前出の研究所が2012年に発表した、博士課程修了者の経済状況に関する調査結果があります。その中で、「博士課程進学時に修了後の進路として意識していた職種区分」という項目があり、それによれば2000人の回答者中1699人が「研究・開発職」と回答しています。「非研究職」は300人です。

博士課程を志す人は、いつまでも自分の好きな研究をしていたいということでしょう。しかし上記の通り大学の教員職に就くのはかなりの狭き門で、いつになるか分かりません。民間の研究室に就職するにも、求められる専門分野と能力が、自分にマッチしていなければ難しいでしょう。そうすると博士課程を修了し、もしかすると博士号も取っている人が、研究職に就くことができないまま、フリーターのような形で必要最低限の収入を得つつ、自分の進路をどうすれば良いのか途方に暮れている姿が目に浮かびます。

社会に求められる仕事を「探し出す・創りだす」意欲が必要

博士課程に限らず大学院に進学を考えるときは、そのすぐ向こうにある「職探し」の現実をもっと真剣に考えるべきです。「いくら何でも博士号をとってフリーターにはならないだろう」、そんな考えではこの20年で様変わりした社会についていけないでしょう。学歴や資格さえあれば仕事が「もらえる」と期待する人よりも、社会や会社に求められる仕事を「自分から探し出す・創りだす」という意欲が、今は評価され必要とされているのです。

研究者の道を選ぶ人は、自分のやりたいことをする喜びを第一として、生活面での苦しさは覚悟する必要があります。そこまでの覚悟ができない人は、進路選択の際に少し先に見えるはずの「就職」というハードルをどうやって飛び越えるか、しっかりと考えましょう。

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