JIJICO

中山 聡さん

一級建築士・不動産鑑定士

この道40年、ベテラン不動産屋がつぶやく「家なんて買うもんじゃないよ」、そのワケは?

2016年2月27日

中古市場に載せられない不良物件が増加

教員採用試験の願書放置、大学側に問われる責任「こんなんじゃやってられないよ」ある会合で、地方からやってきた不動産屋が必死に訴えます。「こっち(田舎)じゃ査定しても100万200万円のクズ物件ばかり。仲介しても飲み代にもならない!!」
 通常、不動産屋の仲介報酬は売買金額の3~5%です。肝心の売買金額が小さいと比例して報酬も少なくなります。例えば売買金額100万円で報酬はたった5万円、しかも法律でこれが上限と決まっています。
 だから、割にあわない仲介はしない、仲介しないから市場に流通しない…人口減少の時代、数年で空き家が1000万戸を越えようとする中、値がつかず、市場にも出てこない「クズ物件」が増えています。見捨てられたクズ物件、統計もなく正確な数は誰もわかりません。そして、住宅ローンを返済し終わる35年後には、あなたの家にも起きることかもしれません。

駅から「信号5個」以遠は危険水準

田舎だけでなく、実は都市でも「値がつかない」現象は起きつつあります。駅からちょっと離れた団地を見てみましょう。夜になっても明かりがつかない空き家はたくさんあるはずです。高度経済成長時代に作られた古い団地は空き家だらけになりました。都市・郊外・田舎、どこも空前の家余り時代に突入です。徒歩10分、車で10分、とにかく駅から信号5個以上遠くに家があれば「ヤバい」と思って間違いありません。冒頭のように、将来売れない苦労を抱えるのです。

漏れ続ける蛇口を買うようなもの

家を買うというのは、常に水が漏れ続け、出血を止められない水道の蛇口をわざわざ買うようなものです。住宅ローン、共益費、固定資産税、町内会費…偶発的に起きる修理費用もかかります。それを上回る収入があるうちはよいですが、非正規雇用が増え、所得は増えない時代、なかなかそうもいきません。いざ売ろうにも、「駅から信号5個」の経験則により、不動産に値がつかない場所が広がっているのです。しかし費用は毎年かかります。売れない家を持てば悩みがつきません。仕事柄そういう人をたくさん見てきました。

賃貸も「結局同じ」

 持家がダメなら、「賃貸が正解?」…そうでもありません。実はあなたの支払う家賃には、様々な会社の利益が載せられています。保証会社の保証料、無意味に頻繁に行なわれる外壁塗装の費用、管理手数料、そして大家の利益…知らない間にいろんな利益が「家賃」にひっくるめられて、あなたは気付かずあくせく支払っているのです。人間必ず住む場所が必要です。今の日本では、無理して家賃を支払えば最後、給料は家賃に吸い取られ、社会の最底辺から抜けられない仕組みが出来上がっています。

資産から消耗品へ「出血を抑えて使い潰せ」

衣食住は生活に必須ですが、これまで衣と食は消耗品で「住」だけが資産として考えられていました。しかしこれからの時代、住宅は無価値に突き進みます。どうせ無価値になるものならば、安いものを買って使い潰してしまうのが正解です。着るもの、食べるものと同じように、安いものを買って、擦り切れるまで使い続けるのです。それが、この人口減少社会、住宅無価値時代に立ち向かえる術なのです。

このコラムを書いた専門家に質問できます

中山 聡さん
一級建築士・不動産鑑定士

無料で相談してみる

「くらし」のその他の記事

2017年7月25日 小倉 越子さん
社会保険労務士
残業代ゼロ法案は働き方をどのように変えていくのか?
「残業代ゼロ法案」とは?「高度プロフェッショナル」とは?意味を正しく理解し適正な労務管理を行わなくては、残業代ゼロ社会は実現しないでしょう。
2017年7月25日 杉山 夏子さん
ファイナンシャルプランナー
賃貸アパートで大家さん業?それとも現金で持つ?相続対策のあり方
相続税対策として賃貸アパート経営を選ぶ人が増えていますが、現金で持っているよりも有効なのでしょうか?専門家が解説します。
2017年7月24日 林 朋寛さん
弁護士
刑法改正で性犯罪が厳罰化へ 性犯罪は減少するのか?
「強姦罪」から「強制性交等罪」に変更、厳罰化、「監護者わいせつ罪」「監護者性交等罪」の新設、起訴は被害者等の告訴不要に。しかし、課題や問題も。
2017年7月23日 河野 晃さん
弁護士
共謀罪法施行 準備行為の規定があいまいで企業活動委縮の懸念
組織犯罪処罰改正法が施行されました。同法の改正については、日弁連をはじめ各種団体、学者らからの反対がありましたが、実際の運用はどうなるのでしょうか。
2017年7月23日 平松 幹夫さん
マナー講師
知らず知らずのうちにマナー違反?最低限知っておきたい食事時のマナー
日本人は食の安心・安全には敏感ですが「心を通わせて食べる」ことは苦手なようです。最低知っておきたい食事時のマナーについて解説します。
2017年7月22日 清水 泰志さん
経営コンサルタント
全成人に月8万円配布の提言が話題に。ベーシックインカムの利点と問題点
ベーシックインカムは企業中心の社会保障制度への代替案という意味だけではなく、人間の生存権をどう考えるかという理念的課題を含んでいます。
2017年7月21日 影山 正伸さん
社会保険労務士
東京都で時差BIZキャンペーン開始!通勤ラッシュ緩和につながるか?
東京都は7月11日から25日まで、通勤ラッシュ緩和のため「時差BIZ」キャンペーンを始めました。企業の多様性の受容が必要ですが、定着するでしょうか?
2017年7月20日 長谷川 満さん
家庭教師派遣
小中学生の親必見!夏休みの宿題は親子で楽しもう!
子どもたちにとって待ちに待った夏休みですが、忘れてはいけないのが大量の宿題。でも、工夫次第で子どもの成長につながる貴重な体験に繋がります。

JIJICOメルマガを受け取りますか?

> 受け取る

テーマ