JIJICO

畑中 晃さん

司法書士

増え続ける公正証書遺言 年間10万件突破

2016年4月11日

公正証書遺言の作成が10万件を突破

昨今、相続、資産承継、財産管理を安心して行うために公正証書を作成する方が増えています。
特に、公正証書遺言の作成が年々盛んになり、日本公証人会連合会によると、昨年は、全国で10万件を突破しました。

公正証書遺言とは、遺言者の意思をもとに公証人が作成にたずさわる遺言です。なお、公証人とは、公証人法に基づき法務大臣が任命する公務員です。
公証人は、法律の規定にしたがって公正証書の作成などの執務にあたります。

公正証書遺言のメリット

手軽に作成できる遺言として自筆証書遺言がありますが、なぜ公正証書遺言が選ばれるのでしょうか?それは次のようなメリットがあるのが一因です。
1.公証人という高度な法律知識をもつ公務員がたずさわるから安心できること
2.偽造変造のおそれがないこと
3.原本が公証役場に保管されること
4.相続開始後に家庭裁判所の検認が不要なこと
5.自書でなくとも遺言を作成できること

せっかく自筆で遺言書を作成しても、民法の要件を満たしていなければ無効となってしまいます。
その点、公正証書は法令に違反する場合や無効な法律行為について作成することはできませんので、公証人のサポートのもと安心して適法な遺言書を作成することができるのです。

任意後見契約も年々増加

また、転ばぬ先の杖として、任意後見契約も年々増加傾向にあります。
任意後見契約は、公正証書によらなければ結ぶことができません。
任意後見契約とは、将来認知症など精神上の障害により、財産管理や介護サービス、介護施設の入所、病院の通院や入院の契約などを自分で出来なくなるときにそなえて、自分の判断能力が十分あるうちに、将来精神上の障害を発症した後にそれらを自分の代わりにしてもらうことを信頼できる人にあらかじめお願いして引受けてもらう契約です。
本人と任意後見契約を結んだ人のことを任意後見受任者といいます。

任意後見契約は、契約を締結した後に、本人の判断能力が衰えて不十分になったときに、任意後見受任者などが家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、任意後見監督人が選任されることによって効力を生じます。
任意後見契約の効力発生後は、任意後見受任者は任意後見人となり、任意後見監督人の監督のもと、任意後見契約にもとづく本人のサポートを開始します。

移行型の任意後見契約とは?

精神的な障害が発生する前に、身体的な衰えから自分で財産管理が困難になるケースも多いと思われます。
たとえば、銀行取引や税金の支払いをしたいが足腰が悪く、自分で銀行や役所に行って手続することが困難な場合などです。

こういったケースを考慮して、任意後見契約と共に財産管理委任契約を結ぶことが一般的です。
これは、移行型の任意後見契約と言われています。
これにより、身体的な衰えだけのときは財産管理委任契約でサポートし、精神上の障害も発生したときは任意後見契約によるサポートに移行することが可能になります。

任意後見契約は、将来自分の判断能力が不十分になったとしても、信頼できる方との間であらかじめ契約した範囲内のサポートを得て、自分らしく生活していけるようにするための制度で、本人の自己決定を尊重することができる点ですぐれています。
超高齢化社会において、今後ますます社会への周知と活用が期待される制度です。

このコラムを書いた専門家に質問できます

畑中 晃さん
司法書士

無料で相談してみる

「くらし」のその他の記事

2017年7月24日 林 朋寛さん
弁護士
刑法改正で性犯罪が厳罰化へ 性犯罪は減少するのか?
「強姦罪」から「強制性交等罪」に変更、厳罰化、「監護者わいせつ罪」「監護者性交等罪」の新設、起訴は被害者等の告訴不要に。しかし、課題や問題も。
2017年7月23日 河野 晃さん
弁護士
共謀罪法施行 準備行為の規定があいまいで企業活動委縮の懸念
組織犯罪処罰改正法が施行されました。同法の改正については、日弁連をはじめ各種団体、学者らからの反対がありましたが、実際の運用はどうなるのでしょうか。
2017年7月23日 平松 幹夫さん
マナー講師
知らず知らずのうちにマナー違反?最低限知っておきたい食事時のマナー
日本人は食の安心・安全には敏感ですが「心を通わせて食べる」ことは苦手なようです。最低知っておきたい食事時のマナーについて解説します。
2017年7月22日 清水 泰志さん
経営コンサルタント
全成人に月8万円配布の提言が話題に。ベーシックインカムの利点と問題点
ベーシックインカムは企業中心の社会保障制度への代替案という意味だけではなく、人間の生存権をどう考えるかという理念的課題を含んでいます。
2017年7月21日 影山 正伸さん
社会保険労務士
東京都で時差BIZキャンペーン開始!通勤ラッシュ緩和につながるか?
東京都は7月11日から25日まで、通勤ラッシュ緩和のため「時差BIZ」キャンペーンを始めました。企業の多様性の受容が必要ですが、定着するでしょうか?
2017年7月20日 長谷川 満さん
家庭教師派遣
小中学生の親必見!夏休みの宿題は親子で楽しもう!
子どもたちにとって待ちに待った夏休みですが、忘れてはいけないのが大量の宿題。でも、工夫次第で子どもの成長につながる貴重な体験に繋がります。
2017年7月20日 大西 勝也さん
内科医
大流行の手足口病!大人にも感染するの?
手足口病が今年も大流行の兆しを見せています。手足口病はウイルス感染症で、乳幼児を中心に流行しますが、大人に感染することも。注意すべきポイントは?
2017年7月19日 目代 純平さん
ITコンサルティング、ITコンシェルジュ
ACジャパンの桃太郎CMが話題に!ネット上でのマナーをあらためて考える
桃太郎の物語を題材に「ネット炎上」の惨状を描いた公共広告が話題になっています。多くの人がネットを使うようになった今日、みんなが気持ちよくネットを使うためにはどんな配慮が必要か、考えてみたいと思います。

JIJICOメルマガを受け取りますか?

> 受け取る

テーマ