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河野 晃さん

弁護士

民法改正 相続時、配偶者の居住権保護について

2016年5月29日

民法改正により相続時の配偶者の居住権保護が認められることに

女性に増加する「冬季鬱病」への備え 現在進められている民法の改正に関して、相続に関する中間試案が明らかになりました。
その中に、「配偶者は遺産分割が終了するまで、それまで住んでいた家に住み続けられる」という内容があります。
このたびの民法改正では、これまで相続により住居を失う可能性があった配偶者に、いわゆる「居住権」を認めるということになりそうです。

この改正の背景にはどういった事情があるのか?

 この改正の背景にはどういった事情があるのかについて、まずご説明します。

 配偶者の一方が死亡した場合、もう一方の配偶者は当然に相続人となります。
亡くなった配偶者名義の不動産にもう一方の配偶者が居住している場合、その住居が確保できるのかは重要なことです。
もし、相続人が配偶者だけであれば居住権の問題はありません。
しかし、配偶者以外に相続人がいる場合、法的には遺産分割協議を経て所有権を新たに獲得しなければ、安心して住んでいられなくなるということがあり得るわけです。
また、遺産分割協議が終わらない間についても同様にいろいろな問題が起こりえます。

 例えば、他の相続人との折り合いが悪い場合、遺された配偶者としては100%の相続持ち分を持っていないため、遺産分割が終わるまでの間、他の相続人から「独り占めしている分、賃料を支払え」なんて言われるかもしれません。
また、不動産は一般的に高額になり、遺産総額の大半を占めることもありますので、不動産を相続すると相続分から足が出てしまい、代償金を支払わなければいけなくなることもあります。
運良く代償金を支払わなくてもよい場合でも、その他預金などの今後の生活に必要なものを相続できなくなるということも大いにあり得ます。
さらに、代償金が支払えなく不動産を相続できなかった場合、今後もその家に住み続けるためには、不動産を相続した他の相続人に対して賃料を支払っていかなければならないということもあり得ます。
しかもこの場合は、配偶者が賃貸借を望んだとしても、不動産を取得した相続人が「貸さない」と言ってしまえば、それも実現しないということになるのです。

居住権確保のためには遺言を作成することが重要

 こういった問題を解決するために、冒頭ご紹介したような法改正が行われようとしているのだと思います。
こういった法改正は、今後ますます進むであろう高齢化社会において特に有効に作用することになると思います。

夫婦が住居を購入する際、夫名義で購入する場合が多いと思われます。
しかし、平均寿命などからも分かるように、旦那さんに先立たれる奥様が実際に多くいらっしゃいます。
居住権の確保は特にこういった女性にとって大きなメリットになるものと思われます。

また、こういった問題の対策として、弁護士としては遺言の作成を強くお勧めいたします。
「うちだけは揉めない」と思っている方こそ、実際に揉めてしまうケースが多々見られます。
気になる方はどうかお近くの弁護士までご相談ください。

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