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藤本 尚道さん

弁護士

舛添氏政治資金問題 野々村元兵庫県議とどこが違うのか?

2016年6月16日

舛添東京都知事と野々村元兵庫県議の違いは?

 
政治資金の私的流用問題で粘ったものの結果的に辞任することになった舛添要一東京都知事ですが、「第三者」とされる弁護士らが「違法ではない」を連呼する調査結果を報告して舛添氏を「擁護」したことが仇(あだ)となって、ますます都民・国民の不信感が高まったように思えます。

さて、この政治資金流用問題は、政務活動費をめぐる詐欺で起訴された野々村元兵庫県議の場合といったいどこが違うのでしょうか。

政務活動費の原資は全て税金

 まず、政務活動費とは、地方議会の議員が行う政策調査研究その他の活動に必要な経費として支給される費用のことで、その原資はすべて税金です。
政務活動費の交付対象や金額などについては各地方自治体の条例で決めることになっていますが、政務活動費の使途(経費の範囲)についても条例で定める必要があり、私的な流用などは許されません。
元県議は、使ってもいない政務活動費を使ったことにして「プール」し、これを自身の選挙費用に流用したとされています。
そのため、野々村元県議は、架空の調査活動費用を計上して政務活動費を騙し取ったとして詐欺などの罪で起訴されました。

政治資金は税金以外に寄付金やパーティーの会費も含まれる

 これに対し、政治資金とは、政党や政治団体あるいは個人が、政治のために使う資金全般のことを言い、その原資には、①寄付金(個人や企業・団体)、②政治資金パーティの会費、③政党交付金など複数のものがあります。③はもちろん税金ですが、①や②は民間から集められたものですから私的な財源です。
政治資金については、その収支内容につき、政治資金規正法・公職選挙法・政党助成法などの規定により「公開」することが義務づけられています。

 しかしながら、政治資金は「政治活動に使った」ものであれば、その使途について法律上の制限などはありません。
たとえその使途が「不適切」であったとしても、それだけでは「違法」とは言えないのです。
このあたりが、「政治資金規正法はザル法」と揶揄される所以ですが、ともかく「適切か不適切か」の問題にはなり得ても、「違法か適法か」の問題には発展しないのが「政治資金」の特徴なのです。
政治資金についてはまず「公開」させることが重視され、その中身(使途の適切・不適切)の問題は、追って選挙民に判断してもらおうというのが基本的なスキーム(枠組み)なのです。

第三者の厳しい調査が墓穴を掘ることに

 ところで、今回、「第三者」とされる弁護士2名が公表した調査報告書は、客観性が担保されていない、つまり何らの「ウラ取り」もなされていない「杜撰な」ものに過ぎません。
個々の政治資金の使途について、あくまで舛添氏本人の弁解が正しいことを前提に、「不適切であるが違法ではない」との結論を繰り返すのみで、実際に使途を確認するために関係者へのヒアリングを行ったという形跡はありません。
政治資金の使途が自由なのだから「ウラ取り」をしようがしまいが結果は同じだろうという「結論ありきの姿勢」が見え隠れしており、とても「第三者による厳しい調査」とは評価できないでしょう。

 実は、舛添氏には「違法性」が問われる可能性がある重大な「疑惑」も存在しています。
それは、舛添氏が家族と宿泊したホテルにおいて、本当に政治活動にかかわる「会議」が開催されたか否かという問題です。
舛添氏はホテルの宿泊費を「会議費」として政治資金収支報告書に記載していますが、もし仮に「会議」が実際に開催されていなければ、「会議費」という記載は「虚偽記載」にあたり、「違法」との結論になります。
この場合、政治資金収支報告書虚偽記載の罪(5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金)が成立してしまうのです。

 したがって、調査を担当する弁護士らとしては、この「疑惑」を解明するために、「会議」が実際に開催されたか否かの「ウラ取り」をしっかり行う必要があったところですが、上記のとおり弁護士らが関係者にヒアリングをした形跡はありません。
これでは、舛添氏を窮地に追い込まないために、敢えてこの「疑惑」の追求を避けて通った、と言われても仕方がないところです。

 そもそも「第三者」とされる弁護士らを介入させることによって騒動の早期鎮静化を狙った舛添氏でしたが、その思惑は見事に外れてしまい、むしろ「辞任劇」の幕が降りるのを早めることに繋がったのではないかと、私には感じられてなりません。

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