JIJICO

山本 勝之さん

社会保険労務士

激務でありながら待遇が良くない介護職 待遇改善のための解決方法は?

2016年6月18日

先行きが見えない介護の現場

 アベノミクスでは、新たに、介護離職ゼロ社会の実現を打ち出しています。
介護の必要な高齢者が増え、労働者が家族を介護するために退職しないための対策が企業にとって課題となっています。
そのため政府は、介護施設を増やす方針です。

 一方、社会保障費の負担割合が増加し、介護施設・事業所が収入として受け取る介護報酬が、社会保障費を抑制する点から昨年度引き下げられました。

 消費税増税の延期が決まりましたが、政府は「ニッポン一億総活躍プラン」を発表、介護や保育に携わる職員の賃金改善に向けた取り組みが、打ち出されました。
社会保障費は抑制するが介護職員の人材の確保と賃金を改善する、この相反した状況に対策があるのでしょうか。

慢性的な人材不足と負担の増大

 このような先行きが見えない介護の現場では、慢性的な人材不足があります。
 求人広告を出しても、問い合わせがない・・・。多くの介護施設・事業所での状況です。
求職者がなく新たな雇用ができないため、既存の職員にしわ寄せが生じています。

 そのため、勤務時間内に仕事が終わらないので時間外勤務が常に生じている、認知症の高齢者が増え、専門的なスキルが求められているが対応できないなど、介護職員に疲労感が大きく、利用者へのサービスの質が低下している介護施設・事業所も見受けられます。
 介護職員一人にかかる負担が大きい場合、うつ病などの精神疾患を煩う職員が出てきています。

介護施設・事業所が具体的に取り組むポイント

 介護施設・事業所は、よりよい人材の確保が求められます。
よりよい人材の確保とは、施設・事業所の方針・目標に寄与する人材を採用することです。

求人募集で応募のあった方を雇用するのではなく、施設・事業所としてどのようなサービスを利用者に行いたいのか、そのサービスを具体的に行える人材像は? このような観点から、採用基準を設け採用をする必要があるでしょう。

 なかには、求人募集でさえそんなに人材が集まらない、現在人員基準がぎりぎりなので応募のあった人材を採用しなくてはならない場合もありますが、施設・事業所の働き方とミスマッチな人材を採用してしまうと、既存の介護職員への負担が増えてしまい、根を上げ退職してしまう恐れがあります。

 また介護職員の働き方について、夜勤の回数を減らす、業務の見直しにより業務量を減らす、リフレッシュできるように年次有給休暇の取得の促進をすすめる必要があります。

 女性の活用が不可欠な職場ですので、出産・育児期の働きやすい職場環境づくりも欠かせません。
 介護報酬に左右されない財源の確保として、介護保険でカバーできない利用者のニーズに応える制度の隙間にあるサービスを独自で展開する、利用者への満足度を向上させ利用者の確保に努める取り組みを行い、介護職員の処遇も改善していきましょう。

介護職員がストレスをためないために自らできることは?

 介護の仕事は、コミュニケーション労働とも言われ、利用者や職場の同僚とのコミュニケーションが大切です。
 しかし人間同士のつきあいでは、どうしてもストレスがたまることがあります。
 そこで、ストレスに対するセルフケアを介護職員自身が行いましょう。

 頼られてもNOと言い我慢をしない、他者をうまく巻き込んでチームで取り組むなどが職場ではできるでしょう。
また、自らの介護技術のスキルをアップすることは、仕事への自信につながります。

 そして、仕事以外に熱中できる趣味やスポーツなどを通じて、職場以外の人間関係を豊かにすることで、自分をケアしていきましょう。

 

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山本 勝之さん
社会保険労務士

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