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二上 昌弘さん

お墓ディレクター

少子化や核家族化を背景に増えつつある「墓じまい」 その実際と注意点は?

2016年7月20日

最近増えつつある墓じまい

数年前からメディアに登場して、今や一般的な言葉になりつつある、「墓じまい」。「お墓の継承者がいない」、「お墓はあるけど遠くてお参りできない」、等、少子化、核家族化、都市化に伴う、日本の現代的なお墓の悩みに対する解決策として、お考えになる方も多い事でしょう。
そこで今回は、墓じまいはどのように行うのか、まず考えなければいけないことと、注意点について書いていきたいと思います。

「墓じまい」で大事なのは「しまう」事より「移す」事

そもそも「墓じまい」とは、お参りする事が困難であったり、跡を継ぐ人がいなかったりするお墓を整理して、納められていた御遺骨を新たに埋葬(又は収蔵)し直す事を言います。
 
どうしても墓じまいという言葉のイメージから、「しまう」=お墓を撤去する事が主眼に受け止められがちですが、まず先に考えなければいけないのは、納められていた御遺骨をどこに移すのか、どのような形で埋葬するのか、という事です。
これは何故かと言いますと、一度埋葬した御遺骨をお墓から出すためには、「改葬」という手続きが法律上必要になるからです。
改葬に際しては、その墓地が存在する市区町村役場から「改葬許可証」を出してもらわなければならず、改葬許可をもらうためには、御遺骨の新たな行き先である、墓地なり納骨堂なりの管理者が発行する、御遺骨の「受入証明書」が必要になります。
つまり、御遺骨の移動する先が決定した状態でなければ、お墓から勝手に御遺骨を出す事は出来ないのです。

その為にはまず、ご自身やご家族がお参りしやすい、または管理しやすい場所にお墓(いわゆる永代供養墓や樹木葬型墓地も含む)や納骨堂を探し、あらかじめ申し込んでおく必要があります。
なお、古いお墓に納められていた御遺骨を散骨したいというご要望をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、散骨は現在の所、法律で正式に認められた埋葬方法ではありませんので、「改葬許可証」を発行するかどうかは各自治体の判断になります。

御遺骨の移し先も決まり、いよいよ墓じまいの手続きに入る事になるわけですが、ここでいくつか注意しなければ行けないことがあります。

墓じまいで注意すべき点 墓地管理者や親戚への配慮

お墓の権利者である方が墓じまいを決断する。その際、お墓が荒れ放題になるよりは、いっそ墓じまいをしてスッキリさせたいのは誰でも皆同じだろう、と思われがちです。

しかしお墓の問題は、そう単純ではない場合が往々にしてあります。
例えば、元々の墓地がお寺の境内にあり、そのお寺の檀家になっている場合。墓じまいをするための改葬手続きは、墓地の管理者であるお寺の御住職に「改葬許可申請書」に押印をしてもらわなければなりません。
お寺としては檀家さんが減ってもらっては困るわけですから、出来る事なら墓じまいはして欲しくない、というのが本音です。
まずはそう言った感情があるということを踏まえた上で、御住職とお話をする必要があります。

また、お墓の持ち主ではない、ご親戚の中にも「お墓を移されるとお参りできなくなって困る」という方が出る場合もあります。
そう言った可能性も含めて、墓じまいを決断する前の事前相談が必要です。

お墓の撤去はトラブルになりがちなので注意が必要

改葬の手続きが滞りなく行われれば、元の古いお墓は撤去する運びとなります。
撤去してしまうお墓ですから、出来れば、費用をあまりかけたくないというのが人情ですが、金額の面だけで業者を選んでしまうと、思わぬトラブルが起きることもあります。

例えば、元の墓地に縁もゆかりもない業者に撤去を委託すると、万が一他のお墓に傷を付けてしまったり、墓地の設備を壊してしまった場合、業者が対応を渋ったり、対応せずに済ませようとしたりする事があります。
また、安い見積もりを出す業者の中には、撤去した墓石などを不法投棄して、処分代を浮かせようとするような悪質な業者もあります。
もし、不法投棄された場合、墓石には名前が彫ってありますから、元の持ち主に思わぬ請求が行われる可能性もあります。
撤去を依頼する際には、同じ墓地で施工経験のある石材店に依頼する方が、後々の安心に繋がります。

亡くなったご先祖様やご家族のためにも、感情や状況に配慮し、不要なトラブルを避けて「墓じまい」に取り組みましょう。

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