JIJICO

浜田 純子さん

企業研修講師

社長を目指す新入社員は過去最低 増える「ほどほど志向」社員

2016年7月21日

社長を目指す新入社員は過去最低 増える「ほどほど志向」

日本生産性本部が平成28年度新入社員を対象にした「働くことの意識調査」で、興味深い結果が発表されました。
「人並みに働ければ十分」と答えた人が58.3%(昨年度53.5%)と過去最高を更新するとともに、「どのポストまで昇進したいか」では、「社長」は、10.8%と、10年前の17.8%から大きく減少し、こちらは過去最低になっています。
加えて、「働く目的」では「楽しい生活をしたい」が、過去最高の41.7%(前年度37.0%)と、これまた過去最高を更新し、「ほどほど志向」の傾向がさらに高まっているようです。
今回の結果をどのように捉え、生かせばよいでしょうか。

時代の流れに伴う働き方の変化

少子高齢化が急速に進むにつれ、出産・育児による女性の負担を減らすべく、男女ともに育児休業の取得を推奨する世の中になってきました。
また、介護の必要性に迫られて、働き盛りの人たちが退職を余儀なくされる状況を鑑み、介護休業の改正も予定されています。

社会全体として、ワークライフバランスを推進し、戦後の人たちには考えられなかった時代へと大きく変わってきているのです。
今後は、男性が育児のために休業することも当たり前になっていくでしょう。
そういう意味では、誰もががむしゃらに働き、ひたすら昇進を目指すこれまでの意識が多様化してきたことは、自然な流れとも言えます。

価値観の二極化

かつて日本では、上位に昇りつめていくことこそ良しとする風潮がありました。
教育現場においても然りです。
しかし、これも変容を見せています。

「個性」を重視し、個々の「価値観」を前面に出して生きることこそ大切だと考えられる世の中になってきたのです。
若い世代において、「ほどほどに働いて、楽しく生活していくことこそ大切だ」と思う人が増える現状も不思議ではありません。
正直に気持ちを発信できる世の中になったということかもしれません。

しかしながら、若者のすべてがそういう傾向にあるわけではなく、たとえば社長を目指したい人だって一定数は必ずいます。
つまり、価値観が二極化してきているのです。

いずれにせよ本来の自分の気持ちを大切にして生きることは重要であり、そういう意味では、現代社会にマッチした状況だとも言えるでしょう。

コミュニケーション力の希薄化

一方、懸念されることの一つが、若者たちのコミュニケーション力の希薄化です。

組織に入れば、年齢、立場、価値観の多様な人たちが大勢いて、その中でうまくやっていくためのコミュニケーション能力は欠かせません。
人事担当者においても、コミュニケーション能力の有無は、採用時の大きなチェックポイントとなっているようです。

ところが、若い世代では、気の合う人との関わりは別として、不特定多数の人との積極的なコミュニケーションを嫌う傾向が強くなってきています。
これまで学生から新卒社員まで、若い世代に対する教育を数多く行ってまいりましたが、電話応対や、業務外での他のメンバーとの関わりにおいては、一層顕著です。

一人一台の携帯電話が普及し、相手はほぼ登録している知人友人であり、電話を取り次ぐこともない時代に育ってきた世代。
また、組織で顔の見える同じ部署に所属していても、用件はすべて便利なメールで行う慣習。
このように敢えて直接会話をしなくても不自由をしない状況に慣れてしまっている世代にとって、コミュニケーション能力の低迷は大きな課題です。

コミュニケーションに対する消極性から、「必要以上に昇進しなくてもいいから、ほどほどに気楽に働いていきたい」という思いになることもあるようですが、どういう働き方を望もうと組織の一員となったからには、克服していかなければならない重要な課題です。

受け入れ側の意識変革が不可避

いずれにせよ、「刻々と変わる世の中」と「人の価値観」をうまく扱っていくことが、企業には不可欠です。
今後は、新たな考え方を拒否するのではなく、時代の流れを受け入れる柔軟性が大切でしょう。
多様化する人材に対して「適材適所」を推進できるよう、コンプライアンスから人事の制度まで、改めて考え直す転換期の到来かもしれません。

このコラムを書いた専門家に質問できます

浜田 純子さん
企業研修講師

無料で相談してみる

「ビジネス」のその他の記事

2017年7月22日 清水 泰志さん
経営コンサルタント
全成人に月8万円配布の提言が話題に。ベーシックインカムの利点と問題点
ベーシックインカムは企業中心の社会保障制度への代替案という意味だけではなく、人間の生存権をどう考えるかという理念的課題を含んでいます。
2017年7月21日 影山 正伸さん
社会保険労務士
東京都で時差BIZキャンペーン開始!通勤ラッシュ緩和につながるか?
東京都は7月11日から25日まで、通勤ラッシュ緩和のため「時差BIZ」キャンペーンを始めました。企業の多様性の受容が必要ですが、定着するでしょうか?
2017年7月20日 長谷川 満さん
家庭教師派遣
小中学生の親必見!夏休みの宿題は親子で楽しもう!
子どもたちにとって待ちに待った夏休みですが、忘れてはいけないのが大量の宿題。でも、工夫次第で子どもの成長につながる貴重な体験に繋がります。
2017年7月20日 大西 勝也さん
内科医
大流行の手足口病!大人にも感染するの?
手足口病が今年も大流行の兆しを見せています。手足口病はウイルス感染症で、乳幼児を中心に流行しますが、大人に感染することも。注意すべきポイントは?
2017年7月19日 目代 純平さん
ITコンサルティング、ITコンシェルジュ
ACジャパンの桃太郎CMが話題に!ネット上でのマナーをあらためて考える
桃太郎の物語を題材に「ネット炎上」の惨状を描いた公共広告が話題になっています。多くの人がネットを使うようになった今日、みんなが気持ちよくネットを使うためにはどんな配慮が必要か、考えてみたいと思います。
2017年7月19日 五十嵐 かほるさん
イメージコンサルタント・ファッションプロデューサー
本格的な夏到来 加齢臭の10倍臭いと言われるミドル脂臭にご注意を!
「オトコ臭?」「ミドル脂臭?」体臭に気を配る男性へ!良い汗をかくことや食生活で「汗腺機能」を高めることに注力も!そして、一人で気にしていないで社内全員での臭い対策も提案してみては?
2017年7月18日 田中 正徳さん
次世代教育プランナー
子供向けのプログラミング教室活況!なぜ今子供にプログラミング?
プログラミングが2020年度から小学校で必修となるということで、すでに習いごと教室では活況を呈しています。論理性が養われるというのも人気の理由ですが、それだけでないプログラミングを学ぶことの恩恵について解説。
2017年7月18日 神野 沙樹さん
社会保険労務士
使い切れなかった有給休暇を会社に買い取ってもらうことは可能か?
働き始めると一度は意識したことがあるであろう「有給休暇」。有給休暇をすべて取得できる職場もあれば、全く取れない職場もあるという現実のなか、「有給休暇を使いきれなかったので、その分お金をください」ということは認められるのでしょうか。

JIJICOメルマガを受け取りますか?

> 受け取る

テーマ