JIJICO

松川 勝成さん

集客コンサルタント、キュレーター

返金保証で話題の休暇村の戦略 顧客を取り戻すことは可能か?

2016年7月28日

休暇村の成り立ちと現状

c7bcc41b3691361a82d64900a9172a27_m「国民休暇村(現、休暇村)」は、私の世代である中高年には、「国民宿舎」共々、懐かしい響きを持ちます。
この「休暇村」が2012年に一般財団法人となり、民間企業・施設と同じ条件となり、そして、運営に苦戦していると言われています。
利用顧客の大半が老齢化していることも原因の一つです。

国民休暇村は、公団住宅、公立学校などと共に、「公」「官」がもつイメージである、利用料金が安い、安心安全、最低限の質の担保を背景に、日本の高度成長期に増加し、利用頻度も高いまま推移してきました。
合わせて、余暇を楽しむ需要の増大に対し、民間企業の参入を鑑みても、供給を満たすにいたらず、営業努力をせずとも顧客を獲得できる時代が続きました。

この一見、安穏とした好景気は、商品の魅力探求、サービスの質向上という本来、怠ってはならない、継続的な努力を抑制すると共に、住宅、学校、施策共々、「公」=「安い」しかし、ボロいという不名誉な先入観をも定着させてしまったのではないでしょうか。

現代社会では、本質的な改善努力を怠ったモノやコトは、公、官に拘わらず、民間企業を含め全てにおいて、滅びてゆく。
これは、自然な摂理であると思うし、同情の余地はないのです。

休暇村の新しい戦略である返金保証の意図はどこに

利用客層の老齢化に伴い、休暇村は、このまま役目を終え、衰退の一途をたどってしまうのか?
実は休暇村のある取り組みが官製イメージから脱却し、変身しようとしていることで注目を浴びています。

一見、捨て身とも思われるその戦略とは、-あなたがホテルの施設やサービスに満足できなかったら、代金を返金します-とする「ときめき保証プラン」と呼ばれる新評価システムの導入。
文字通り、宿泊客が満足しなければ(ときめかなかった)場合は、相応の額を返金するというものです。

かなり思い切った戦略ですが、サービス向上と満足度アップの試金石というより、話題つくり、景気づけの意味合いが強いと私はみています。

休暇村当事者も現状の置かれている立場を十分に理解し、また、歯がゆい想いを抱いているのではないでしょうか。
即ち、経緯や成り立ちの如何に拘わらず、「一度来てくれれば、素晴らしいところだ」とわかって頂けるのに、と。
実際、全国の国立公園・国定公園内にあるという立地の優位性は健在です。
加えて、これに胡坐をかかず、新たな企画、楽しいプランを練って待ち受けているというわけですから。

休暇村が生き残るために取るべき戦略とは

「ときめき保証プラン」のようなエポックメイクな戦略はさておき、コンテンツの本質的な質の高さを改めて見直しているとすれば、数多ある休暇村の中で、二極化が進むのではないかと考えます。

即ち、休暇村としての役目を終えるところと、生き残り戦いを続けるところにです。
前者はコンテンツそのものが市場の要求に応えられないところであり、生き残ることは難しいでしょう。
では、コンテンツそのものは高い質を保持している前提、の後者は生き残れるのでしょうか?

冒頭の通り、利用者の多くが老齢化しており、新たなターゲットとして、若者、外国人観光客の取り込みがキーポイントになることは間違いないと、休暇村もみているようです。

そうであれば、コンテンツの本質的な質の高さ、と、新たな企画・プランの創出と提起だけでは、現在の情報過多社会においては、独りよがりに終わり生き残るのは難しいのではないでしょうか。

彼らが生き残るための答えは、その存在を知らしめること、にかかっていると私は考えます。
それは予算を投入して、広告キャンペーンを展開するというものではありません。
情報過多、情報洪水社会において、自身を前面に押し出す姿勢は諸刃の剣になります。人々、特に、若者や海外観光客は、肌感として、広告とわかるものは受け付けないのです。

彼らが聴く耳をもつのは、第三者の声です。特に、ソーシャルな繋がり、ゆるい信頼関係をもつ発信源からの情報を重要視します。
それは、あるときは意識的に、あるときは無意識的に。

自身のモノ、コトをコンテンツとして前面に押し出し発信したい気持ちはわかります。また、その内容に自負もあることでしょう。
今すぐ客を得るには、変わらず有効でしょう。
しかし、それでは、ある一定の成果を見込めても、一過性で息切れし長くは続かないと思われます。
新しいターゲットの理解、支持を正しく得るには、自身のコンテンツの質の高さを信じ、心中する覚悟こそ肝要と考えます。

SNSの利用により潜在顧客へアプローチすることが重要

休暇村に関わる人々が、自身が、四季折々の最も好きな、美しい、素敵なシーンを丹念にSNS系の媒体を中心に、根気強く発信してゆく。決して、広告や営業ではなく。
そして、自身のSNSの支持者にも協力をお願いしていきます。
「もし、行ってみたいと思われたら、シェア・拡散をお願いします」と。
更に、来訪者の方々にも控え目にお願いします。
「もし、気にいったシーン、景色、トピックスがあれば、是非、写真や動画におさめ、SNSに投稿お願いします。
貴方の知り合いの方々が同じ感動を得られますように」と。

いわば、毎日が「ときめき保証プラン」の審美眼に見張られ、評価されているに等しい状態を作り出してゆくのです。
評価の対価は返金ではなく、お客様の本音ということです。

SNSの先にいる人、それは、今すぐ客・顧客ではなく、膨大な見込み客、潜在客、そして、可能性客です。
このアプローチは、一見、気の長い能天気な活動にみえるかもしれません。
しかし、コンテンツの本質的な質が高いモノ、コトであれば、必ずやターゲットの琴線をゆらすはずです。

決して、おもねったアプローチをするのではなく、自信をもって、自身のもつ魅力を可能な限り、多方面に。可能な限り、第三者の公平・公正な視点で発信してゆくことです。
そうすることによって、顧客は自ずとこちらの存在、魅力に気づき、選んでくれるはずです。
もしそこまで行ってダメであれば、それはコンテンツの魅力が乏しい本質的な欠陥に他ならないでしょう。

このような姿勢で集客活動をすることが、インバウンドマーケティングの正体であり、宿泊・観光業界に限らず、ほぼ全てのビジネスシーンにおいて、情報過多・情報洪水時代を生き抜く新たなマーケティング活動だという想いを私は日々強めています。

休暇村が、コンテンツとして本物であれば残るし、そうでなければ滅びる。
シンプルで本質的な審美眼にさらされる時代が到来しているのではないでしょうか。

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松川 勝成さん
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