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久保田 一美さん

企業研修講師、コンサルタント

出産を機に退職女性6割は多いのか?仕事と子育て両立ポイントは?

2016年7月31日

最新の男女共同参画白書でも続く「出産を機に退職約6割」

最新の男女共同参画白書(平成28年度版)によると、第一子の出産をきっかけとして、約6割の女性が仕事を辞めてしまう現状が続いています。
働き続けたいのに何らかの理由でやむを得なく退職するという方や、希望して退職する方もまだまだ多いです。

出産に関する優遇措置、仕事と育児の両立支援など、政府や自治体、企業が様々な取り組みを強化するなかで、日本の働く女性が、出産・育児を機に退職する割合が、今もなお約6割と続く現実。

そこには、何が隠れているのでしょうか。
また、「仕事」と「育児」を両立するには、制度以外にどんなことが必要なのでしょうか。

女性は退職したことを後悔しているのか?

先日ある新聞で「第一子出産後の退職について」の各種データの記事に、このようなタイトルが付いていました。
『第一子出産後の退職、約4割が後悔』続いて、『「1歳までは育児専念」が約9割』

この前者の内訳は、下記のような割合です。
◆大いに後悔している8.1%、やや後悔している32.8%・・・約4割
◆あまり後悔していない34.6%、全く後悔していない24.5%・・・約6割
(出典:リクルートワークス研究所調べ)

私はこのデータを読み、タイトルになっていた「第一子出産後の退職、約4割が後悔」という見出しより、「後悔していないという割合が約6割」もある方に、日本の働く現場の実情と女性の心情を表していると感じてしまいました。
もっと詳細に紐解くならば、出産を機に本当の意味で後悔しているのは「わずか8.1%」。つまり1割にも満たないという見方もできるからです。

女性は本来自分の手で子育てをしたい

また、続くタイトルの『「1歳までは育児専念」約9割』というデータ。
共働き家庭がそうでない家庭の約2倍となっている現代ですが、このデータが示すように、多くの女性は本来「自分の手で子育てをしたい」と思っているのです。

しかし、第一子の出産を機に退職してしまう割合が変わらないのに、共働き家庭は増えている。
これは何を意味しているでしょうか。
そして、企業でずっと働いてきて、仕事もベテランの域となり、これからまさにリーダーシップを持って活躍できる30代の女性が「育児をしたい、でも働き続けたい」と思い、退職を踏み止まって復職する方が増えるには、制度以外に何が必要でしょうか。

これは私のケースになりますが、私自身、大学卒業後から継続して企業で働き、30代で出産・復職しましたので、「自分の手で育児をしたい」というこの記事にとても共感します。
そのような気持ちのなかで「復職する」ことを選択したのは、働いていた職場が、そして仕事が「やりがいがあって、毎日が楽しかった」からです。でもそれは決して仕事>育児と比べるものではありません。
「仕事を続けても、きっと育児にも良い影響がある」と考えたのです。

仕事と育児の両立ポイントとは

子育てをしながら感じることですが、子どもは「楽しい」とか「できるようになりたい」など、前向きな気持ちが湧き上がるものに関しては、時間を忘れるくらいに没頭し、自分から取り組みます。

これはある意味大人も同じだと思うのです。「仕事をすることが楽しい」「もっとこの職場で成長したい」と思う気持ちがあれば、多少の壁は工夫をすることで、なんとか乗り越えられます。
社会には働く女性を支援する様々なサービスが生まれてきています。

「仕事をすることが育児にも良い影響を与え、育児をすることが仕事にも良い影響を与える」。
そんな相乗効果があがるような「やりがいのある仕事」や「戻りたい職場環境」であったら、女性も育児をしながらも働き続けたいと思うのではないでしょうか。

先のデータから読み取れるのは、辞めても悔いのない仕事であったから「後悔しない」割合が高いのではないか、とも感じ取れるのです。また、そのような恵まれた境遇であれば、何らかの理由で退職せざるを得ないことになった場合、少なくとも先の「退職したことを大いに後悔」の割合はもっと上がるはずではないか、と思うのです。

仕事を続けながら育児をするなかで、働く母の気持ちのなかに「そう選択したら、毎日が楽しい」という「やりがい」から「いきがい」に繋がっているかどうかが、仕事と育児の両立ポイントのひとつだと感じています。

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