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山口 里美さん

司法書士

10年で3割増えた相続争い 少額でも火種に どうすれば避けられる?

2016年8月21日

相続税がかからない普通の家で争うケースが増えている

2014年に全国の家庭裁判所が扱った遺産分割事件は1万5000件余りで、過去10年で3割弱も増加しました。
そして、争っている方の7割は遺産が5000万円以下であり、更に不動産が含まれるものが約5割です。
つまり、相続税がかからない普通の家庭こそが、相続問題で争っている現実が見えます。
この数字を踏まえ、将来の相続で揉めないために、今何ができるのかを考えます。

相続の主役は財産をもらう子世代ではなく財産を渡す親世代

相続が開始すると、遺言書が残されていれば、先ず、原則はそれに従い相続人が遺産を分けることとなります。
未だ、遺言を書く日本人の割合は多くありませんが、やはり「自分の意思」をきっちりと残しておくことが、相続人が「争族人」と化してしまわないために重要となります。

遺言書がない場合には、「法定相続分」を目安として、相続人間で財産を分ける遺産分割協議を行いますが、実はこれが結構大変です。
残された遺産が、預貯金等の分けやすいものであればよいのですが、自宅のみで、更にそこに長男家族が同居していたという場合などは、他の兄弟との財産の分け方で争うケースが多くなります。
核家族化、情報化が進み、個人の権利意識が高くなったことにより、「親の面倒を見たくないが財産は欲しい」、などという主張のトラブルが、残念ながら増加しているのです。

更に、遺言書が無く、法定相続が数代繰り返されると、相続人が数十人となるケースもあり、財産分けどころか、所有者の所在さえわからない「空き家問題」にまで発展してしまうケースも増えています。
ゆえに、本人が、誰に財産を遺したいのかの意思を明確にする必要があるのです。
相続の主役は、財産をもらう子世代ではなく、財産を渡す親世代であること、今一度ご理解いただきたいと思います。

元気で判断能力のあるうちに相続準備をすることが重要

本人が元気なうちに財産を把握して、できるだけ分けやすいものにシフトすることも一つの手段です。
相続税対策として建てた賃貸アパートが、実は後で、分けるのが大変などというケースもあります。
また、受取人を指定することのできる生命保険を活用し、そもそも、遺産分割の対象とならないよう、相続財産から切り分けておくことも選択肢になります。

相続問題はまだまだ先のことと捉えがちですが、一旦認知症などを発症してしまうと、遺言、保険契約、不動産手続きなど、ほとんどの法的手続きはできなくなります。
いつ自分の判断能力が低下するのかは誰にもわからないこと。
ですから、元気なうちにできることから着手することがとても大切です。
更に、いきなり遺言を書くことに抵抗がおありの場合は、気軽に書けるエンディングノートを先ず、書いてみることをお勧めします。
書くことにより、気付きがあり、「この不動産おじいさんの名義のままだった」「保険の契約放置していた」等と、次にやるべきことを発見するきっかけにもなります。

丁度今、夏休みで、普段別々に暮らしている親子が顔を会わせる時期です。
今や、おひとり様世帯の方が、家族で住まう世帯よりも多いのが現実。
子世代は親世代の困りごと、普段どのように暮らしているのか等を、この時期に把握してみて下さい。
そして親世代は、気恥ずかしくて伝えられなかった思い等を、子世代に伝えるチャンスの時期でもあります。
親と子のお互いが敬い、感謝の心を持って接することが、将来の相続争いをなくす第一歩です。

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山口 里美さん
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