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金子 清隆さん

ITコンサルタント セキュリティコンサルタント

モバイル決済サービスが日本に上陸

2016年9月16日

モバイル決済が相次ぎ上陸へ

b1668f6173c448eb00aa414afc7cbd24_m9月7日(米国時間)、Apple Special Eventで「iPhone 7/7 Plus」が発表されました。
注目されるのはこの新しいiPhoneでモバイル決済サービス「Apple Pay」が日本でも利用できるようになったことです。

先日も三菱UFJファイナンシャルグループ(MUFG)とGoogleが提携し、Android端末を使った決済システム「Android Pay」の日本でのサービスを開始することが報じられました。
MUFGのデビットカードを使った決済を「Android Pay」経由で利用できるということです。
「Android Pay」については執筆時点で正式な発表はありませんが、2020年の東京オリンピック開催に控え、日本に訪れる外国人観光客が増加していることを背景に、携帯端末を用いてクレジットカード決済を行うモバイル決済サービスが日本に上陸する動きがあります。

国内での電子マネー決済とモバイル決済との互換性の問題

海外ではクレジットカードやデビッドカードと連携したモバイル決済サービスが広がりつつありますが、日本国内では「おサイフケータイ」や「モバイルSuica」に代表される電子マネー決済が普及しています。
この両者では規格が異なっており、いわゆる「ガラパゴス状態」となっています。

両者とも近距離無線通信技術の国際規格であるNFC(Near Field Communication)に基づいておりますが、「Apple Pay」や「Android Pay」はNFC Type-A/Bという規格、国内の「おサイフケータイ」などではFeliCaとして知られるNFC Type-Fという規格が採用されています。
このため、スマートフォンや店舗に設置する決済端末に互換性がありません。
つまり、これまでのiPhoneで「おサイフケータイ」や「モバイルSuica」が使えないのはFeliCaチップが搭載されていないからであり、一方で「おサイフケータイ」や「モバイルSuica」の使える店舗の決済端末はNFC Type-A/Bに対応しておらず、「Apple Pay」や「Android Pay」の利用が難しい状態でした。

日本でのモバイル決済の展望

この互換性の問題を解消するには、店舗の決済端末をNFC Type-A/BとFeliCaの双方に対応させる、または端末にNFC Type-A/BとFeliCa両方のチップを搭載することが必要です。
今回のAppleはiPhoneにFeliCaチップを搭載したため、国内の決済端末を置き換えることなく「Apple Pay」サービスが利用できるようになります。
また、Suicaにも対応したことは注目すべきです。
国内では電子マネー決済が主流であり、中でも普及度の高いSuicaを取り込んだことにより、国内の量販店やコンビニエンスストアの多くでiPhoneによる決済が可能になるからです。
なお、「Android Pay」に関して、国内で発売されているAndroid端末の多くは「おサイフケータイ」を利用できるよう、NFC Type-A/BとFeliCa両方のチップが搭載されているため、「Android Pay」がFeliCa対応すればサービス提供が可能になるでしょう。

一方で、増加する外国人観光客の持つ端末は海外仕様のNFC Type-A/Bのみに対応するため、店舗の決済端末をNFC Type-A/BとFeliCaの双方に対応させないと自国と同じモバイル決済を利用できません。
こちらについては内閣に設置された日本経済再生本部が発表した「日本再興戦略2016」の中で外国人が訪れる主要な商業施設、宿泊施設及び観光スポットを中心に「キャッシュレス化の推進等」を施策の一つとしているので、徐々に対応が進むことでしょう。

モバイル決済の普及に向けた課題として、日本ではクレジットカードの利用に抵抗を持つ人が多いことです。
先日、内閣府から発表された「クレジットカード取引の安心・安全に関する世論調査」でも、クレジットカードの積極的な利用について「思わない」という回答が全体の6割近くという結果でした。
そのため、当面は電子マネー決済が中心で、モバイル決済は外国人観光客と一部のクレジットカード利用者に限られるかもしれません。
しかし、モバイル決済の利便性や安全性が周知されるにつれ、利用者が増加していくことが期待されます。

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