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岸本 貴史さん

人事労務コンサルタント、社会保険労務士

中小企業が理想的な職場環境を作るにはどうすれば良いか?

2017年2月26日

他社の真似ではうまくいかないケースが多い

最近、職場環境の整備に関する関心が高まっています。
各社の目新しい制度導入の報道を耳にする機会も多くなり、何かしら取り組みを始めようとされている企業も多いのではないでしょうか。
しかし、他社でうまくいった制度をそのまま導入しても、自社でうまくいくとは限りません。
なぜなら、企業風土、業種、従業員数、事業形態など、背景の異なる他社の制度を導入しても、従業員の理解を得られず正しく機能しないことがあるからです。

自社にとっての理想と現実を明確にする

理想的な職場環境を作るには、他社よりも自社に目を向ける必要があります。
まず、「なぜ今、職場環境を整備しようとしているのか?」という職場環境づくりに取り組む目的を明確にしなければなりません。
人材確保、職場満足向上、紛争予防など様々考えられますが、目指す目的によって実践する取り組みも導入すべき制度も変わってきます。
また、職場環境づくりは従業員のためと思われがちですが、経営の安定のためという目的が根底にはあるはずです。
経営の安定のために従業員の健康や成長、やる気が不可欠、だからこそ職場環境の整備に積極的に取り組む、という意識は少なからず必要です。
従業員満足の向上だけを目的にしてしまうと、価値観の多様化している従業員を満足させるためにいつの間にか経営の安定が犠牲になっている、その結果、従業員の待遇も結局低下せざるを得なくなった、という極端な状況も起こり得るからです。

また、「今の職場環境の良い所と悪い所は?全体として100点中何点くらいか?」というざっくりとした現状把握も必要です。
現状の職場の強みと弱みを把握した上で、理想の職場環境を具体化していきましょう。
仮に現状で高得点だと判断した場合は、既に理想的な職場環境が整っているのにその良さを従業員に伝えられていないだけ、ということが考えられます。
その場合に効果的なのは、新たな制度を導入するよりも、現状の職場環境の良さを整理して見える化し、知ってもらう機会をつくることです。

職場環境づくりは、経営理念や長期的な人材戦略も考慮した上で、「自社独自の理想の職場環境」のイメージを具体化し、その後に、具体的な制度導入の検討や実現できるかどうかの検証という手順で進めていけば、中小企業でも理想的な職場環境の実現に段階的に近づいていけます。
理想的な職場環境づくりの第一歩は自社をよく知ることです。

職場環境の整備は労使のコミュニケーションチャンス

そして、目指すべき「自社独自の理想の職場環境」が明確になれば、具体的な制度の導入を含めた取り組みの詳細を検討していきます。
目的明確化と現状把握の過程で、「労働時間」「休暇」「休憩」「賃金」「賞与」「育児・介護」「キャリア」など、自社の理想の職場環境づくりのために取り組むべき分野が明確になっていると思います。
この段階までくれば、同じ分野で先駆けて取り組みを実施している他社の事例も参考になりますので、上手に活用しながら自社の取り組みを進めていきましょう。

理想の職場環境を作るためには、どんな制度を導入するかも大切ですが、それ以上に「どんな職場を目指すかを経営者が決める」ことが重要になってきます。
特に大企業に比べて経営者と従業員との距離感が近い中小企業では、職場環境づくりへの取り組みをすること自体が、経営者から従業員へのプラスのメッセージとしてダイレクトに伝わりやすい傾向にあります。
是非、他社を真似て無理なことをするのではなく、他社の事例を参考にしながらも自社の風土に合った理想の職場環境とは何かを明確にすることから始めてみてください。

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