JIJICO

寺田 淳さん

行政書士

遺言書で相続時のトラブルを防ぐには?

2017年3月29日

遺言書を遺すべき事例-1 子のいない夫婦の場合

1dc7a9a5c015781130b61d19506c3784_mまず遺言書を遺さないことでトラブルになる可能性が高い事例としては、子供がいない夫婦で親兄弟が健在な場合です。
亡くなった配偶者に親か兄弟姉妹が健在な場合で、遺言書を用意していなかった場合には遺された親兄弟にも法定相続が発生します。

生前に遺言書を作成しその中で「全財産は配偶者に相続させる。」と記載されていれば、親兄弟には相続の権利は発生しません、ですが遺言書がないと親や兄弟に法定相続の権利が生じます。
所謂直系尊属(親、祖父母)が健在の場合は 配偶者に2/3、直系尊属に1/3の法定相続が発生します。
直系尊属はいなくとも配偶者に兄弟姉妹が健在の場合には、配偶者に3/4、兄弟姉妹に1/4の法定相続が発生するのです。
兄弟姉妹が亡くなっていてもその子(甥や姪)が存在する場合は彼らに相続権が発生し、代襲相続として同様の権利が発生するのです。

仮に、義理の親や兄弟姉妹と疎遠な関係の場合で相続が発生した場合、または顔も見たことがないような甥や姪に相続が発生した場合には、多くの場合相続財産の分割に関して厄介なトラブルに発展しています。

遺言書を遺すべき事例-2 今の家庭以外に子がいる場合

離婚や死別に関係なく、今の夫婦間以外に子供がいる場合、当然ながら子供には相続権があります。
子供の存在を伝えていなく、遺産分割終了後にその事実が判明した場合には遺産分割のやり直しを求められることになります。
また、最近の法改正によって婚姻関係にない男女間に生まれた子供であっても、認知されている場合には同等の相続権が認められるようになりました。
この場合でも遺言書が無いと、事前の心構えが出来ていないまま相続の手続きを進めることを強いられ、遺族間に大きな負担をかけることになるのです。

遺言書を遺すべき事例-3 相続財産が限られている場合

配偶者と子供だけが相続人であっても、相続財産と言えるものが現在の住まいだけというように限られた財産しかなく、さらに簡単に分割出来ない財産の場合です。
配偶者と長男が同居している家と土地しか財産がなく、別居している他の子供には法定相続分の遺産を相続させることが困難な場合には深刻な相続トラブルとなる恐れがあります。
通常遺言書が無い場合は相続人全員の協議と合意に基づいて遺産分割協議書を作成しなくてはいけません。 
相続人全員に分割可能な遺産がある場合でもそれぞれの思惑等で協議の合意までに長時間を費やすことが少なくありませんが、限られた財産の分割ともなれば、解決までには相当長期間を要することとなります。

遺言書があっても絶対ではない

では遺言書を作成さえすれば、上記のようなトラブルの芽は摘みとれるのかと言いますと、そうとは言えないのです。 
まず、自筆証書遺言を選択した場合は、現在のところ全ての内容を自筆で書く必要があります。
パソコン等での作成では法律的効力はありません。
さらに内容に不備がある場合(相続人の欠落、誤認、財産表記、金額誤記、その他)や曖昧な表現の為に解釈が複数成り立ってしまうような場合には遺言書自体が無効とされます。

さらに、作成当時は完璧な内容であっても幸か不幸か遺言書作成から相続の発生までが相当長期にわたった場合、記載された財産の内容が現状と異なる場合が出てきます。
またその間に相続人が死亡するなど、作成当時と異なる環境になることも考えられます。
あまりに早い作成も問題を含むことがあるのです。

最後に、内容も書式も法的に何ら問題ない遺言書であっても、相続人全員がその内容に不満を持った場合、先述した遺産分割協議書を作成することで相続人の意向に沿った内容での遺残分割が可能になります。 
遺言という故人の最期の意思であっても、それが100%そのまま実行に移されるわけではないケースがある、ということも付け加えておきます。

\ この記事をシェアしよう! /

専門家に相談してみよう!

寺田 淳さん
行政書士

この専門家について

執筆記事一覧

関連記事&スポンサーリンク

最新記事や今おすすめ記事をお届けします。
解決!アスクミー JIJICOメルマガ

>今すぐ登録する!

「くらし」のその他の記事

2019年10月14日 米田 創さん
寝具小売店主
子どもの反抗期、秋の夜長におふとんができることとは?
夏休みや大型連休も終わり、「子どもたちには、そろそろ落ち着いて学生生活を送ってほしい」と願う保護者も多いでしょう。口数も減った難しい年頃の子どもに、親として何ができるでしょうか。
2019年10月11日 宮本 章太郎さん
心理カウンセラー
秋の憂うつ。気分が乗らないときは「○○すべき」の気負いに注意
実は秋から冬にかけての季節の変わり目に精神的に不安定になり、気分が落ち込む人は少なくありません。どのようなメカニズムでそのような状態になるのか、秋の不調の予防や対処の仕方について心理カウンセラーの宮本章太郎さんにお話を聞いてみました。
2019年10月11日 茂木 秀一さん
彫り職人
還暦祝いとは?父・母や、男性・女性に贈る変わったプレゼントをご紹介
還暦の由来や意味などから、なぜ60歳を特別に祝うのか?どうして赤い物をプレゼントするのか?など、意外と知らない還暦の基礎知識についてご紹介します。
2019年10月10日 齋藤聡子さん
料理研究家
食卓を囲む時間を幸せなひと時にする方法
食卓を囲む時間を幸せなひと時にしませんか? 突然ですが、幸せをかんじるときってどんな時ですか?今幸せですか?と質問すると7割近くのひとが「幸せだ」と答えるそうです。泣いても笑っても同じ、1度きりの人生

テーマ