JIJICO

栢原 義則さん

進学塾塾長

子育て支援の安定財源として期待される「こども保険」の是非について

2017年5月29日

「こども保険」とは?

教育無償化の安定財源をめぐって、自民党の特命委員会は、幼児教育の無償化や待機児童解消の財源確保策として、保険料で財源を賄う「こども保険」も含めた検討を政府に促す提言案をまとめました。

「こども保険」は、教育無償化に向けての自民党内に浮上している「教育国債」に対して、小泉進次郎ら自民党の若手議員が提言する、保育や幼児教育を無償にするための対案です。
「こども保険」として社会保険料率を0.1%上乗せすることで3400億円を確保できると試算。
将来的には上乗せ分を0.5%に引き上げて1兆7000億円を確保。
助成を月2万5000円程度に拡大することで、保育・幼児教育を実質無償化したい考えです。

具体的には「公的年金」や「介護保険」の仕組みのように、保険料を徴収して社会全体で子育て世代を支援する新たな保険制度をつくろうというものです。
「教育国債」に比べると将来世代からの借金となる国債発行を回避できるのが利点です。
しかし、小さな子どもがいない世帯にとっては、保険料の負担だけが増えることになります。
これに対しては、「子どもがいない人も、将来、社会保障の給付を受ける側になる。社会保障制度の持続性を担保するのは、若い世代がどれだけいるかだ。若い人を支援するということは、子どもがいる、いないに関係なく、社会全体の持続可能性につながる」と説明しています。

「こども保険」の提言に込められた思惑

「こども保険」は、子育て支援の安定財源になり得る期待も出ているとはいえ、保険制度は、自分にふりかかるリスクに対し個々が保険料を納めて、そもそも制度として成りたっているので、子育て支援の財源として、保険制度はなじまないのではといった声も聞かれます。

安倍政権は2017年度の「骨太の方針」の中で教育の無償化を推進しています。
財源の確保として「教育国債」や「こども保険」が提言され、財源の安定確保を目指しています。
「教育国債」の発行は「名を変えた赤字国債だ」という慎重論が根強く、公的年金などの社会保険料に上乗せして保険料を集め、子育て世帯への給付に充てる「こども保険」を今の社会保障制度が高齢者偏重ではないかという問題をも含め、「全世代型社会保険」の第一歩としたいという思いもあります。
「こども保険」は、まだ構想段階。
使いみちなど、制度の詳細が決まったわけではなく、今後、特命委員会でどういう議論が展開されていくのか注目していきたいものです。

教育の無償化に関しては、財源を国だけに頼るのではなく、法制度を整備して、幼稚園から高校までを義務教育として地方自治体との連携を考えることもできます。
いずれにしても、高等教育無償化に始まり、幼児教育の無償化、待機児童の解消、子育て支援など広い意味での日本の将来を支える人材作りを視野に入れた財源確保の為の、抜本的な税制・社会保険制度の見直しが必要ではないでしょうか。

\ この記事をシェアしよう! /

専門家に相談してみよう!

栢原 義則さん
進学塾塾長

この専門家について

執筆記事一覧

関連記事&スポンサーリンク

最新記事や今おすすめ記事をお届けします。
解決!アスクミー JIJICOメルマガ

>今すぐ登録する!

「学び・興味」のその他の記事

2019年7月20日 清水 泰志さん
経営コンサルタント
韓国への輸出規制強化に至る問題の本質は?日本に及ぼす影響とは?
輸入手続きが煩雑に変わっただけのことを反日に結び付ける韓国との関係改善の糸口を見つけることは難しい。
2019年7月19日 笠原拓さん
システム開発者
パソコンが苦手な人の抵抗感を克服するにはどうすれば良いか?
パソコンが苦手で使うことに抵抗感を感じる方は多いですが、実は日常の中で何気なく使っているものでもITツールは多いのです。パソコンへの苦手意識をなくし使いこなすにはどうすればいいか、システムエンジニア出身が教えます。
2019年7月17日 石垣 友規人さん
塾長、学習アドバイザー
中学校の定期テスト廃止を考える
中学校で定期テストを廃止する学校が増えています。その代わりに小テストを数多く実施し、子どもたちの学習習慣を定着化させる狙いがあるようですが、思惑通り進むかは疑問です。子どもを落ちこぼれにさせないために親は何が出来るのか、考えてみたいと思います。
2019年7月10日 堀田周郎さん
ブランディングコンサルタント
今治タオル実習生の不当労働報道から思う。ブランドは誰のもの?
今治タオルを扱う縫製工場で働く技能実習生の劣悪な労働環境が報道され大きな波紋が広がっています。ブランドの所有者は企業、お客さまに加えて従業員、社会のものになりました。貴方にはその認識があるでしょうか?

テーマ