JIJICO

田沢 剛さん

弁護士

「民泊」解禁法案が衆院通過 近隣トラブルは防止できるのか?

2017年6月6日

民泊新法案が衆議院本会議で可決

国内外からの観光客の宿泊に対する需要に的確に対応してこれらの者の来訪及び滞在を促進し,もって国民生活の安定向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする住宅宿泊事業法案(いわゆる「民泊新法案」)が,今月1日に衆議院本会議で可決された模様です。
民泊の解禁で近隣トラブルなどが増加する懸念もありますが,この点をどのように克服しているのかについて解説してみます。

民泊新法で近隣トラブルは回避されるのか?

まず,民泊新法で予定されている住宅宿泊事業者の営業形態には,住宅の所有者自らがそこに居住して宿泊管理業務を行うものと,所有者が不在で住宅宿泊管理業者にこれを委託するものがありますが,いずれにしても,年間の宿泊日数の上限が180日と定められていて,地域に実情に応じるべく条例でこれよりも厳しい制限を設けることも可能となっております(18条)。

また,近隣トラブルをできるだけ防止するために,住宅宿泊事業者ないし住宅宿泊管理業者は,宿泊者に対し,法令で定められた騒音の防止のために配慮すべき事項その他の当該住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関して必要な事項を(外国人観光客に対しては外国語を用いて)説明しなければならないと規定されるとともに(9条,36条),周辺地域の住民からの苦情及び問合せに対しても,適切かつ迅速に処理しなければならないと規定されています(10条,36条)。

民泊により近隣トラブルが生じているにもかかわらず,これに適切かつ迅速に対処されない場合には,監督官庁による業務改善命令(15条,41条),業務停止・廃止命令(16条),登録取消命令(42条)が出されることになっていますし,命令違反に対する刑事罰も定められているところです。

近隣トラブルを防止できるか否かは運用次第

民泊が急増する外国人観光客の受け皿になっていることを無視し得ない一方で,近隣トラブルの防止も図らなければならないため,民泊新法はこれらの規定を盛り込むことで旅館業法による規制を緩和しようとした法律といえますが,監督官庁による監督がまともに行われるのか,また,捜査機関においても近隣トラブルは民事であるなどとして不介入の姿勢を取るのではないかといった心配もないではありません。
結局のところ,民泊新法により民泊が解禁されたとしても,近隣トラブルをうまく防止できるか否かは,その運用にかかっているといえるでしょう。

専門家に相談してみよう!

田沢 剛さん
弁護士

この専門家について

執筆記事一覧

最新記事や今おすすめ記事をお届けします。
解決!アスクミー JIJICOメルマガ

>今すぐ登録する!

「法律」のその他の記事

2017年9月22日 片島 由賀さん
弁護士
解決!アスクミー JIJICO
「自転車保険」義務化への動き 事故への備えはしていますか?
自転車事故の増加により各自治体で自転車保険の加入を義務付ける動きが出ています。どういった保険に入る必要があるか、今後の予想される流れなどを弁護士が解説します。
2017年9月22日 加藤 豊さん
不動産コンサルタント
解決!アスクミー JIJICO
マンション管理をどう見抜く?購入前の確認と管理会社の選び方
資産価値にも大きな影響を与えるマンション管理。購入前のチェックポイントと、購入後の管理会社の選び方、所有者としてのあるべき姿勢とは?
2017年9月21日 城戸 景子さん
イメージコンサルタント・マナー講師
解決!アスクミー JIJICO
第一印象の重要性。第一印象はたった7秒で決まる?
第一印象の重要性が注目されて久しいが、第一印象に大きく影響するのは見た目です。良い印象を与える見た目作りを2つのステップで考えましょう。
2017年9月21日 田沢 剛さん
弁護士
解決!アスクミー JIJICO
衆議院解散権は誰の権限?大義は必要?
衆議院解散の際は、そこに大義があるのか否かを含めてこれまでの政権の有り方が問われ、あるいは今後の我が国のあり方を占う重大な選挙となることは間違いありません。

テーマ