JIJICO

森田 伸幸さん

不動産コンサルタント

国交省が手数料の上限緩和検討 空き家仲介促進につながるか?

2017年6月15日

国交省が中古物件の売買仲介手数料の上限緩和を検討

国土交通省が空き家の利活用促進を図る目的で低価格の中古物件売買における仲介手数料の上限を緩和する検討に入りました。
宅地建物取引業法では売買価格によって仲介手数料の上限が変わってくるため低価格の物件は不動産業者から敬遠されがちであることを考慮したものと思われます。
空き家の中には所有者に関する調査だけでも相当な費用と期間及び関係者との協議等が必要になる物件が少なくなく、労力と時間の割には手元に残る手数料に満足ができないことには頷けます。

現行の宅建業法では手数料上限を「売買価格200万円までは価格に5%を乗じた額」「200万~400万円未満の部分は4%を乗じた額」「400万円以上の部分には3%を乗じた額」(いずれも税抜き)と決めています。
売買価格が300万円であれば仲介手数料は「200万円×5%+100万円×4%」と計算し手数料の上限額は「14万円」となります。
今回の改正案はこの14万円に調査費等の経費を加算できるとされ最高で400万円未満の物件でも最高18万円まで受け取れるようにするというものです。

手数料の上限緩和だけでは中古市場の活性化は難しい

しかしこの程度の上限引き上げで不動産業者のモチベーションが上がるかは疑問ですし、そもそも築古物件の利活用が促進しない理由は売買当事者である売主買主へのインセンティブが不足していることが一因であることも考えなくてはなりません。
築古空き家の譲渡所得控除や買主の住宅ローン控除を適用させるために「耐震基準適合証明書」もしくは「既存住宅瑕疵保険付保証」を取得する必要があり、耐震診断や耐震補強工事等のコストが別に負担となることも利活用の阻害原因となっています。

築古空き家の利活用促進は買手目線で見ることも不可欠で買手へのインセンティブを上げることが優先されるべきと考えます。
築古空き家の最大の魅力は何と言っても取得コストの低さであり、購入にかかる優遇税制の適用ハードルを低くすることも検討の余地があると考えます。

中古市場を活性化させていくには更なる施策が必要に

これまでの新築建設へ偏重していた施策を中古市場流通主導型(ストック市場型)に切り替えるにはドラスティックな改正や規制緩和を市場では求めているのではないでしょうか。
例えば、仲介手数料の上限を上げるならば「売買価格500万円までは価格の6%を上限とすることができる」、売買への安全性を図る上での「バイヤーズエージェント制度(購入者代理制度)を創設する」、購入者選択主導型の「ホームインスペクション制度(住宅診断)を助成する」、などこれまでにない施策が検討されることが望まれます。

仲介手数料の上限を僅かばかり上げたところでその効果は期待できないと思われますし、宅建業法を改正する前に宅建業法下で従事するプレイヤーの質に言及しなければなりません。
中古住宅は新築住宅と比べると物件調査や関係者との調整により専門性が求められる物件が多く、購入後に異変や不具合に気付き後悔や泣き寝入りをしている購入者が未だに存在するのも事実です。
「宅地建物取引士」の資格を有しない素人同等のプレイヤーを排除し、専門家を育成することも同時進行で検討してもらいたいものです。

「築古空き家を購入して本当に良かった」という声が消費者に広がれば空き家の利活用も活性化すると確信します。

\ この記事をシェアしよう! /

専門家に相談してみよう!

森田 伸幸さん
不動産コンサルタント

この専門家について

執筆記事一覧

関連記事&スポンサーリンク

最新記事や今おすすめ記事をお届けします。
解決!アスクミー JIJICOメルマガ

>今すぐ登録する!

「くらし」のその他の記事

2019年6月14日 笠原拓さん
システム開発者
インターネット上の情報の取捨選択はどうすれば良いのか?
インターネット上で情報が溢れる時代に本当に必要な情報を取得するには?求められるITリテラシーとは何か。システムエンジニア出身が教えます。
2019年6月8日 村越 真里子さん
夫婦問題カウンセラー
山里亮太と蒼井優結婚!男女の本当の相性とは?
美女と野獣のカップル誕生!!人柄が勝利しました。見てくれの美醜よりも、結局人間、中身だと教えてくれた山ちゃん。男女の本当の相性を考えて行きたいと思います。また結婚生活の成功の秘訣も覗いて行こうと思います。
2019年5月1日 半田 望さん
弁護士
「働き方改革」で病気の治療と仕事の両立は実現できるか?
労働者人口の減少や労働構造の変化により、将来的な労働力の不足が懸念される中、政府は「働き方改革」の実現に向けて各種の施策を打ち出しています。その中には、病気の治療でフルタイムの勤務は困難だが、時間短縮や在宅勤務などのフレキシブルな働き方のニーズを実現することも含まれていますが、まだまだ課題は残されています。今回は政府の「働き方改革」における仕事と病気の治療との両立が実現できるのか、について考えます。
2019年4月30日 青柳 雅也さん
心理カウンセラー
五月病にならないために気を付けるべきこととは?
今年のゴールデンウイークは10連休というかつてないほどの長い休みになります。ゴールデンウイーク明けに起こりやすい五月病ですが、例年より長い分、その発生を危惧する声も上がっています。五月病というのはどういう状態で起こるのでしょうか。また五月病にならないために気を付けるべきことはどんなことなのでしょうか。

テーマ