JIJICO

大竹 光明さん

社会保険労務士

タバコを吸わない社員に有休「スモ休」は広がるか?

2017年9月11日

解決!アスクミー JIJICO

仕事中のタバコ休憩に対する厳しい目

2020年の東京オリンピック開催が決まり、いわゆる“おもてなし”を実現するため完全禁煙スペースをさらに増やす方向に世の中は動いているようです。愛煙家にはますます厳しい社会になってきました。日本たばこ産業株式会社の「2017年全国たばこ喫煙者率調査」によれば、喫煙者の割合は男性喫煙率が83.7%だった昭和41年をピークに下がり続け、現在の男性の平均喫煙率は28.2%、女性は9.0%だそうです。

さて、喫煙者が勤務時間中に何気なくタバコを吸うために職場を離れる行為について、皆さんはどのようにお感じでしょうか。タバコを吸う人からすれば、ほんの数分程度の息抜きであって、お手洗いに行くようなものかもしれません。しかし吸わない人からすれば、休憩時間でもないのに仕事を勝手に離れる行為だと感じてしまいます。

男性喫煙率が80%を超え、誰もがタバコを吸う時代であればタバコ休憩もありだったかもしれませんが、今はそうではなくなったようです。

タバコを吸わない社員の有休を増やす「スモ休」

今年9月より、東京に本社を構えるウェブマーケティング会社の株式会社ピアラでは、タバコを吸わない社員の有給休暇を増やす「スモ休」を導入しました。非喫煙者である社員から「タバコを吸うために休憩している社員と比べると労働時間に差があるのではないか。」との指摘を受け、不公平感を是正するために導入を決めたそうです。

具体的には、入社6か月以上の非喫煙者に対し、1年あたり6日の特別休暇を与えるといった内容になっています。制度導入をきっかけとして禁煙することにした社員もいたようで、社員の健康増進にも一役買っているようです。喫煙者にペナルティを課すのではなく、非喫煙者を優遇するこの制度。今までと少し視点が異なることから注目されています。

そもそもタバコ休憩はありなのか?

そもそも、休憩時間外にタバコを吸うために仕事を離れる行為自体に問題はないのでしょうか。

法的に言えば、所定の勤務時間に社員に仕事をしてもらう対価として、会社は毎月お給料を支払っていますので、社員が勤務時間中に勝手に仕事を離れることは労働契約違反となります。数分だからよいというものではないのです。

「スモ休」については、非喫煙者を優遇することで喫煙者との不公平感をなくし、間接的に禁煙を促す効果はありますが、実質的に会社が「タバコ休憩」を容認してしまっていると言えなくもありません。タバコを吸っていると「スモ休」はもらえないけれど、勤務時間中の一服についてペナルティはないからです。会社としてタバコ休憩の扱いをどうするかは、別問題として考えなければならないでしょう。

過渡期の制度としてはユニーク

このままの世の中の動向でいけば、いずれ公共スペースだけでなく社会全体が完全禁煙に移行していく可能性が大です。喫煙ルームなどもなくなり、仕事中にタバコを吸うなんてことは許されないようになるでしょう。

「スモ休」は、一部禁煙から完全禁煙に移行する過渡期の制度としてはユニークで、喫煙する社員の“急にやめられない”事情を組んだある意味優しい制度だと言えます。導入を検討する企業も出てくるかもしれません。今後、この制度で喫煙する社員がどう変わっていくか、とても興味深いです。

専門家に相談してみよう!

大竹 光明さん
社会保険労務士

この専門家について

執筆記事一覧

最新記事や今おすすめ記事をお届けします。
解決!アスクミー JIJICOメルマガ

>今すぐ登録する!

「ビジネス」のその他の記事

2017年11月19日 飯塚 和美さん
心理カウンセラー
解決!アスクミー JIJICO
家族の絆を見直す日 家族でいられる毎日を楽しんでいますか?
11月の第3日曜日は家族の日です。様々な家族の形、家族の時間を楽しめるように思いやりや笑顔でいられる工夫、過ごし方について考えてみましょう。
2017年11月19日 林 朋寛さん
弁護士
解決!アスクミー JIJICO
転職情報サイトの匿名の投稿者情報の開示を認めた高松地裁判決の問題
高松地裁判決は、プロバイダ責任制限法の解釈等に問題があり、控訴審で破棄されるべきでした。控訴しなかったプロバイダの判断にも疑問です。
2017年11月18日 古川 実成さん
補聴器専門店主
解決!アスクミー JIJICO
補聴器がウェアラブル端末として進化していく可能性
補聴器は技術の進歩によりインターネットなどと連携したコミュニケーションツールとしても進化しています。IoTを活用したウェアラブル端末としての未来を解説します。
2017年11月18日 清水 泰志さん
経営コンサルタント
解決!アスクミー JIJICO
たばこ増税検討の背景とは?他の増税もありうる?
消費税の軽減税率適用分の穴埋めに、たばこ税の増税は役立たない可能性が高いが、その他の代替財源確保も難しい。

テーマ