JIJICO

白木 麗弥さん

弁護士

選択的夫婦別姓の行方はどうなる?「姓」とは結局何かという話

2018年1月21日

解決!アスクミー JIJICO
サイボウズ社長の訴訟提起をきっかけに、選択的夫婦別姓の話題が再び盛り上がっています。結婚するとき、離婚するとき、心のどこかで片方が悩む、姓の問題です。

私も最初の結婚で経験しましたが、姓の変更は意外と色々な問題に波及します。銀行口座、カード名義、登記の変更…。姓を変えてもらった側にはわからない苦労が意外とあります。

離婚後にも姓にまつわる不都合がある

自分の本来の姓でキャリアを積んだ人にとってみれば、フォーマルな場では姓を呼ばれることの多い日本ではなおのこと、いきなり「別人」のようなものです。

そして、私も離婚で経験しましたが、旧姓に戻したくても、結婚後の姓でキャリアを積んだ人にしてみれば、戻した姓が周囲には「別人」のように図らずも映ります。

しかも、「離婚したので」と結婚よりも説明しづらい事情が浮き彫りになってしまうというマイナス面もあります。そういうわけで、結局私は婚姻後の相手の姓を名乗り続けています。

「通称名」でもやはり不便な面がある

こういうマイナス点を補うために戸籍上の姓とは別に仕事上で「旧姓」を名乗る制度もあります。

しかし、仕事の中で公的な氏名の記載が必要な業務が出て来る場合、業務に混乱をきたす場合もないわけではありません。

成年後見人に選任する場合は戸籍上の氏名が要求されますが、業務上の姓と異なると事情をその度に説明することになるわけです。業務上の姓と戸籍上の姓が変わることで別の書類を出すようになど、不都合を被っている人をよく見かけます。

そのような事実上の不都合を感じる他、人によっては、法律上姓が変わることにより自分のアイデンティティの一部が失われるような喪失感を覚える人もいるでしょう。

相手の姓になって嬉しい、という気持ちもあるかもしれませんが、長く周囲から呼ばれ、家族の一員であることを示す姓が変わるということについて同時に寂しさを覚えることは自然な気持ちかもしれません。

海外では選択的別姓が主流へ

さて、姓、いわゆるファミリーネームは日本のみならず、多くの国で採用されています。とすれば、個人としての名前とは別にどの「一族」に所属しているかということを示すことがそれなりに重要だということの裏返しとも言えるかもしれません。

しかし、一方で結婚の際にファミリーネームを一方当事者が変えなければならない制度が一般的かというと必ずしもそうではありません。

たとえば、中国も韓国も当事者は結婚しても元の姓のままです。従来、妻が夫の姓を名乗るのが優先としていたスイスや原則として夫婦で夫又は妻の姓を名乗るとしていたオーストリアも21世紀になって、選択制が認められるようになりました。

世界の流れでは、選択的夫婦別姓が主流になってきたと言える状況です。歴史的に見てみると、選択的別姓が主流になる以前は、各国の社会、文化や制度によって「夫側」の一族への帰属を優先すべきか、双方の一族の帰属を尊重するのか等で姓の選択に関しては様々な制度が置かれていました。

こうした流れの変化の背景に社会の中でそれぞれの「個人」を尊重する考え方が一般化してきたことがあるように思います。

さて、日本の社会が「個人」を尊重するのか、いわゆる反対派の主張である「家族の絆」(家族自体が多様性に富む概念になっている状況をどう捉えるかということかもしれませんが)を尊重するのか、裁判の行く末を追っていきたいと思います。

\ この記事をシェアしよう! /
関連記事&スポンサーリンク

最新記事や今おすすめ記事をお届けします。
解決!アスクミー JIJICOメルマガ

>今すぐ登録する!

「法律」のその他の記事

2018年8月16日 田沢 剛さん
弁護士
解決!アスクミー JIJICO
留置場からの脱走、どういう罪になる?逃げられた側の責任は?
刑法で規定されている「逃走の罪」は、いずれも故意に逃走したり、あるいは故意に逃走の手助けをした場合を罪として規定しています。なので、留置管理担当職員らの過失によって逃走事件(脱走)を招いてしまった場合、当該職員らの刑事責任を問うことは困難です。
2018年8月8日 小倉 越子さん
社会保険労務士
解決!アスクミー JIJICO
「合同組労働組合(ユニオン)」は心強い味方、でも加入はよく考えてから
誰でも加入できる「合同労働組合(ユニオン)」は、労働者にとって頼りになる存在です。しかし、簡単に作れるため、中には悪質なものもあるので注意が必要です。また、加入の際には、組合が持つ助け合いの気持を忘れないようにしましょう。
2018年8月7日 片島 由賀さん
弁護士
解決!アスクミー JIJICO
「事実婚」とはどんなもの?法律婚との違い・メリット・デメリットも解説
先日、ブロガーで作家のはあちゅうさんが公表して話題になりました事実婚。事実婚は一般的な婚姻の手続きである、法律婚とどんな違いがあるのでしょうか?メリット・デメリットを含めて解説します。
2018年8月5日 河野 晃さん
弁護士
解決!アスクミー JIJICO
カジノ法案成立、「国の運営だから大丈夫」という理屈と反対意見
カジノ法案が国会で成立しました。国の運営、管理のもとで運営するから問題ないという姿勢に対して、民間事業者の利益になる点に公益性があるのかという疑問や、ギャンブル依存症の増加が懸念されるという反対意見があります。

テーマ