JIJICO

古賀 竜一さん

コンピューターサポートエンジニア

SNS等ネット上の実名公開・顔出しのリスクとスマホ時代のITリテラシー

2018年5月2日

解決!アスクミー JIJICO

インターネットで実名や顔写真を公開すると個人が特定されやすくなるリスクがある

今、インターネットは社会インフラとしてだけでなく、創造的で文化的な生活を可能にする場ともなっていて、ITのメリットを享受している一方、潜在するリスクも表面化しています。そのリスクの一つが、SNS上などでの実名の公開、顔出しの問題です。

実名の公開や顔出しで問題になるのは、ネット上や普段の生活の中で何かトラブルなどを起こしてしまった場合です。炎上や揉め事がきっかけで実名が検索され、個人の特定や過去の投稿内容、言動などが明らかにされてしまうことがあります。住所や電話番号といった個人情報が拡散された場合は、悪戯行為などの誘発を招くことがあります。

その影響は個人にとどまらず、周囲の関係者、例えば所属先、家族、友人などへ迷惑をかけたり、トラブルの内容や程度によっては所属先に居られなくなることも考えられます。さらには事件や訴訟に発展することもあるでしょう。
また、いったん広がった情報はネット上に散逸し簡単には消せなくなります。このようにリスクが高い実名公開や顔出しがなぜ行われるのか、これまでのサポート経験などを通して述べてみます。

実名公開と顔出しは、乏しいネットリテラシーとネット特有の心理・欲求にある

サポート先で、IT関連のあらゆるものを実名で登録設定している人に何度となく遭遇します。理由を聞いてみると驚くことに皆「聞かれるまま登録した、何も考えていなかった」と言います。要するに実名公開の要因の一つは、ネットの仕組みや情報の公開について知識がないという、リテラシーの乏しさにあると言えます。二つ目の要因は人間ならだれもが持っている、心理や欲求によるものです。

  • 交流を広げて人とつながりたい→社会参加欲求
  • 同じ趣向の人と考えを共有したい→同調行動
  • 自己を認められたい→承認欲求
  • とにかく人より目立ちたい、自己をアピールしたい→自己顕示の欲求
  • 有名人になりたい、そのように振舞いたい→自己実現への憧憬、欲求

ネットは誰でも簡単にこのような欲求が実現できる空間です。この心理はネット特有の「情報の双方向性」によって増幅しやすくなります。顔出しをしながら様々な企画に挑戦するYoutuberが増えているのも、こういった心理のあらわれかもしれません。

匿名よりも実名のほうが当然満足度も高くなりますので、どうせなら実名で・・・となってしまうわけです。リスクはその場合、過小評価されてしまいます。

スマホ中心の日本特有のIT事情とITリテラシー

世界のIT端末の保有実態調査によると、他国の若年層ではスマホ、パソコン両方を所有しているのに比べて日本のスマホ保有率は約8割で、パソコンの所有率は低く、所有していない割合も多くなっています。日本の若年層のITリテラシーが近年特に乏しいと言われる要因として、この日本特有の端末普及のありかたがあると言われています。

スマホの手軽さや操作性、情報量の少ない単純な画面構成は、思考することなく情報へたどり着ける爽快さがあります。これが若い人のPC離れに直結していて、ITリテラシーが身につかなくなる要因となっています。元々インターネットは、専門的知識を持った人が使う前提のものでした。普及のため商業利用化され、一般の人が利用するようになってからまだ十数年です。社会インフラともなったITの利用には、公道を利用する社会的常識やルールと同じように、IT社会に相応のリテラシーが求められています。

ITで世界に取り残されないためにも、行政や地域が積極的にかかわり、相談や支援を受ける環境などを整備し、拠点作りや人材の醸成を行うことで、安全で豊かなIT社会を実現させていく必要があるでしょう。

\ この記事をシェアしよう! /

専門家に相談してみよう!

古賀 竜一さん
コンピューターサポートエンジニア

この専門家について

執筆記事一覧

関連記事&スポンサーリンク

最新記事や今おすすめ記事をお届けします。
解決!アスクミー JIJICOメルマガ

>今すぐ登録する!

「くらし」のその他の記事

2019年5月1日 半田 望さん
弁護士
「働き方改革」で病気の治療と仕事の両立は実現できるか?
労働者人口の減少や労働構造の変化により、将来的な労働力の不足が懸念される中、政府は「働き方改革」の実現に向けて各種の施策を打ち出しています。その中には、病気の治療でフルタイムの勤務は困難だが、時間短縮や在宅勤務などのフレキシブルな働き方のニーズを実現することも含まれていますが、まだまだ課題は残されています。今回は政府の「働き方改革」における仕事と病気の治療との両立が実現できるのか、について考えます。
2019年4月30日 青柳 雅也さん
心理カウンセラー
五月病にならないために気を付けるべきこととは?
今年のゴールデンウイークは10連休というかつてないほどの長い休みになります。ゴールデンウイーク明けに起こりやすい五月病ですが、例年より長い分、その発生を危惧する声も上がっています。五月病というのはどういう状態で起こるのでしょうか。また五月病にならないために気を付けるべきことはどんなことなのでしょうか。
2019年4月29日 髙木理恵さん
介護施設コンサルティング
高齢者の車の運転事故と免許返納を家族全員で考える
高齢者が運転する車によって引き起こされる事故が後を絶ちません。高齢者の免許返納については身内である家族全員で考えることが重要です。
2019年3月29日 池内宏征さん
司法書士
認知症対策であり遺言機能もある家族信託は遺言とどう違うのか?
自身の財産に関して生前に何も対策をしていない場合、相続人は法定相続分という法律で決まっている割合で遺産分けをすることになります。これに対して、法定相続分と異なる配分で遺産分けをしたい場合、遺言書の作成もしくは認知症対策にもなる家族信託契約をする必要があります。家族信託と遺言はどこが違うのでしょうか?

テーマ