JIJICO

河野 晃さん

弁護士

学校で女子生徒が妊娠・退学。法的に問題ないのか?

2018年7月6日

解決!アスクミー JIJICO

全国の公立高校で妊娠発覚後に自主退学を勧められるケースが32件

今年の3月に文部科学省が発表した実態調査によると、全国の公立高校が把握している生徒の妊娠の実例2098件、そのうち約3割の674件で自主退学していたとのこと。また、その中には学校から自主退学を勧めたケースが32件あったとのことです。

退学を実質的に強制しているのであれば学校の対応は違法の可能性

生徒側が休学等別の対処を望んでいたにもかかわらず、学校側が自主退学を強く勧め、事実上退学を強制したと評価される場合、学校の対応は違法となる可能性があります。仮に生徒を退学とさせたいのであれば、正式に退学処分という形で処分すべきです。

そういった手続きを経ずに生徒側に圧力を加え、退学を余儀なくさせるという行為は褒められたものではありません。退学処分は、学校における懲戒処分の中で最も重いもので、その判断は慎重に行うべきです。

退学処分が許されるケースは、学校教育法施行規則第26条3項に明記されています。そこには、

  • 1.性行不良で改善の見込がないと認められる者
  • 2.学力劣等で成業の見込がないと認められる者
  • 3.正当の理由がなくて出席常でない者
  • 4.学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者

とあります。

以上の要件を考慮すると、単に「妊娠した」という一事をもって生徒を退学とすることは許されないと考えられます。普段から学校生活上の態度も良く、成績も悪くない生徒であっても妊娠するということはあり得るからです。したがって、仮に「妊娠した者は退学とする」という校則を作っていたとしても、それを理由に生徒を退学処分とした場合、その校則は違法なため、退学処分自体が無効となることもありえます。

安易に退学を勧めるのではなく子どもの将来を考えた対応が重要

実際、私が知っている方にも、高校在学中に妊娠し、出産してから復学し、その後高校を卒業し、子育てをしながら大学にも通い、大手の企業に就職した人もいます。もちろん、その人の努力はもちろん、周りのサポートなど環境的な部分も多分に影響することかもしれませんが、「妊娠=悪」として生徒の可能性を摘むことが果たして教育機関として正しいのかと言われれば、それは疑問でしかありません。

妊娠した生徒に自主退学を勧め、事実上それを強制することで、子を産んだ生徒の学歴は、その後、高校等に通学し直さない限り「中卒」ということになり、就職活動にも影響することでしょう。高校生で出産した場合にシングルマザーとなる可能性は統計上どうしても高く、母親だけでなく、その子どもにも貧困の苦労は待ち受けていることにもなります。

学校としては、臭い物に蓋をするように退学を勧めるのではなく、妊娠した生徒がいた場合にはその生徒に寄り添って、将来のことを考えた対応をしていただきたいと思います。

\ この記事をシェアしよう! /

専門家に相談してみよう!

河野 晃さん
弁護士

この専門家について

執筆記事一覧

関連記事&スポンサーリンク

最新記事や今おすすめ記事をお届けします。
解決!アスクミー JIJICOメルマガ

>今すぐ登録する!

「こころとからだのケア」のその他の記事

2018年11月9日 青柳 雅也さん
心理カウンセラー
チャンス?それともリスク?上司からの無茶ぶりへの上手な対処法
職場で時折降ってくる上司からの「無茶ぶり」。無茶ぶりをよい機会ととらえてチャレンジするのか、無理だと判断して抱え込まない選択をするのか。判断基準になるのはどのような観点でしょうか?専門家が解説します。
2018年10月23日 水野 直美さん
健康アドバイザー
アメリカ発のお酢のドリンク「スウィッチェル」、整腸作用や疲労回復、美容におすすめ
健康と美容効果が高いと海外で人気を集める「スウィッチェル」。リンゴ酢とハチミツ、ショウガを使ったドリンクで、家庭でも簡単に作ることができます。スウィッチェルを飲むことでどんな効果を期待できるのか解説します。
2018年10月15日 鹿島 直之さん
精神科医
大竹しのぶさんの母が診断された老年期うつ病とはどんな病気?
女優・大竹しのぶさんの母親が老年期うつ病と診断され、大竹さんと家族により自宅で手厚い介護を受けながらも食欲、意欲の低下が改善せず9月1日に亡くなりました。老年期うつ病の特徴と治療について解説します。
2018年10月10日 中原 崇さん
社会福祉士
子どもの前で行われるDV「心理的虐待」が増加。被害を減らすには?
2017年度の児童虐待の数は13万3778件。子どもの目の前で行われるDVが心理的虐待として扱われるなど数は増加傾向に。虐待から子どもを守るためには、子どもやその家族をサポートする環境を整えることが大切。

テーマ