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松田 友和さん

医師

糖尿病の本当の怖さと向き合い方

2019年6月13日

糖尿病であると元気で長生き出来なくなる?!

糖尿病専門外来を受診されて、初めて糖尿病であることがわかった患者さんには、『糖尿病を放置すると「元気で長生き」出来なくなりますが、糖尿病と上手に付き合うことで「さらに元気で長生き」出来きます。』とお話させていただいています。

糖尿病治療の目的は、「元気で長生き」ということご存じでしょうか。裏を返せば、糖尿病は放置していれば、「元気で長生き」出来なくなる疾患なのです。

日本人の平均寿命は、女性 87.3歳、男性81.1歳であり、日本は世界でもトップクラスの長寿国です。一方で、日本人の糖尿病患者さんの死亡時の平均年齢は、女性75.1歳、男性71.4歳です(糖尿病. 59(9). 667-684. 2016)。つまり、糖尿病患者の寿命は、日本人の平均寿命より約10年短いことがわかっています。

「元気で長生き」を考える上で、寿命とともに大切なことは、健康寿命を守るということです。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことを言います。日本人の健康寿命は、女性74.5歳、男性72.1歳ですが、糖尿病患者さんの平均健康寿命は、65歳程度であると言われています。つまり、糖尿病であると、「元気で長生き」出来ていないのです。

実は、これには大きな理由があります。それは、糖尿病を放置している方が約300万人もいらっしゃるということです。厚生労働省の調査では、日本における糖尿病患者数は1000万人と推定されていますが、そのうち女性31.3%、男性25.6%は糖尿病の治療を受けていないことが明らかになっています。

また、治療を受けている方の約半数は目標の血糖コントロールに達していないことも知られています。重要なことは、ほぼ全ての糖尿病患者さんの血糖値はコントロール出来る、ということです。

ほぼ全ての糖尿病患者さんの血糖値はコントロール出来る!

糖尿病は生活習慣病であり、不摂生の人の病気である、と思ってはいないでしょうか。もしそうであれば、日本で不摂生の上位1000万人が糖尿病になるのでしょうか。勿論、そんなことはありません。

糖尿病になる=血糖値が上がる、要因は大きく2つに分けられます。

・インスリン分泌が低下している
・インスリンの効果が低下している

これら2つのうち、インスリン分泌の低下は生活習慣とは関係ありません。日本人を含むアジア人は、インスリンの分泌力が低いと言われています。その日本人の中でもインスリンを分泌する力が低いという素質のある人が糖尿病になります。インスリンの効果の低下は、生活習慣の乱れによって起こることを考慮する必要もあります。

これら2つの要因が、その方の血糖値の上昇にどの程度関与しているのかは、個々それぞれで変わってきます。個々の要因をしっかりと把握し、対処していくことで、理論的には血糖値は必ずコントロール出来るのです。

そのため、糖尿病のコントロールは、医療者(医師、看護師、栄養士など)と患者さんとその家族(友人)のチームで行うことが大切になります。医療者が、それぞれの患者さんの血糖値があがる要因を検討し、それぞれに合った治療法を提案します。本人や家族は、医療者と相談しながら、自分自身の血糖が上がりやすいという特徴に向き合い、糖尿病と上手に付き合っていただきたいです。

糖尿病と上手に付き合うと「さらに元気で長生き」出来る?!

糖尿病に向き合うことで、医療者とチームを組むということは、自分自身の医療チームを結成するということです。血糖値の管理をしながら、同時に血圧やコレステロールなどの管理を行い、定期的に身体に異常の確認を続けることで、結果的にさらに元気で長生きを達成できるということは容易に想像できます。

糖尿病に特有の食事療法や運動療法はありません。血糖値が高くなくても、適切な食事や適切な運動が寿命あるいは健康寿命を延ばすことは良く知られています。ご自身の血糖値を健康のバロメーターとして活用することで、元気に楽しく長生きを実践しましょう。

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